2005.06.22

気管挿管ができる救急救命士、長崎県初の認定者が誕生

 長崎県で6月20日、同県としては初めて、気管挿管ができる救急救命士に対する認定書授与式があった。第1号として認定されたのは、長崎市消防局の消防士長で救急救命士の本村仁識(よしのぶ)氏。6月13日付けで同県メディカルコントロール協議会長の認定を受けた。同氏は今年3月に2週間の事前講習を受けた後、5月9日から6月8日にかけ、長崎市民病院で認定取得に必要な30症例の病院実習を修了した。

 九州では今年5月末現在で42人の救急救命士が気管挿管の認定を受けている。長崎県では、本村氏以外に12人が講習・実習を受けており、今後相次いで認定されることになる。今年度中には22人の認定者誕生を見込みという。これは同県の救急救命士数172人の約13%、8人に1人強に当たる。

 長崎県では、2004年7月の解禁後、気管挿管の実習体制構築にほぼ半年をかけた。取り決めたのは、(1)講習体制、(2)病院実習のあり方、(3)認定要領、(4)対象となる患者に対するインフォームド・コンセントの要領、(5)現場で気管挿管を行う際の実施要領の各項目。これらの体制作りのほか、実習時に事故が発生した場合の責任問題などの取り決めなどに時間を要したため、実際の実習開始は、当初、目標にしていた今年4月から大幅にずれ込み、5月9日にようやく開始された。開始後の医療機関と消防の協力関係は順調(長崎県危機管理・消防防災課)という。

 同県が現在、力を入れているのが広報体制だ。現在、実習受け入れ医療機関は16施設あるが、手術を目前にした患者に対していきなりインフォームド・コンセントをとろうとしても受け入れてもらうのは困難。そこで、患者や家族の理解を深めてもらおうと、山形県や熊本県などの先進県での取り組みを参考に、患者向けのパンフレットを作成、広く県内の医療機関に配布した。6月20日に認定書交付式を実施したのも実は広報活動の一環。当日はNHKをはじめ、県内で視聴可能なすべてのテレビ局と多数の新聞社が取材に訪れ、県の思惑を上回る盛況を得たようだ。

 従来、気道確保には、ラリンゲルマスクと食道閉鎖式エアウエイを用いてきた。しかし、これらの器具は救急搬送中などの振動ではずれやすく、確実性の点で問題があったという。認定救急救命士の活躍はこれからだが、救急現場での期待は高い。

 なお、厚生労働省医政局によれば、気管挿管実施に必要な実習を修了した救急救命士は、2004年末時点では全国で516人。この時点で医療機関における気管挿管実習を始めていない“空白県”は岩手県、群馬県、三重県、滋賀県、島根県、岡山県、徳島県、香川県、宮崎県、大分県、沖縄県と、今回、第1号が誕生した長崎県の計12県あった。(中沢真也)


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