2005.06.14

【解説】中国で相次ぐトリインフルエンザによる渡り鳥の大量死 ヒトへの感染拡大が懸念される状況に

 中国では5月、6月と、トリインフルエンザ(H5N1型ウイルス)による渡り鳥の大量死が相次いで発見されており、ヒトへの感染拡大が懸念される状況になっている。世界保健機関(WHO)は北京で6月10日、予測できない状況になりつつあると警告を発したばかりだ。

 OIE(国際獣疫事務局、Office International des Epizooties)によると、中国は5月21日に青海省の青海湖で大量の渡り鳥が死んでいるのが発見され、死んだ鳥からH5N1型ウイルスが確認されたと報告した。大量死が発見されたのは5月4日で、死んだ鳥の総数は519羽だった。

 感染が確認された鳥は、インドガン (Anser indicus)のほか、オオズグロカモメ(Larus ichthyaetus) 、チャガシラカモメ(Larus brunnicephalus)、アカツクシガモメ(Tadorna ferruginea)、カワウ(Phalacrocorax carbo)の野鳥も含まれていた。

 また、6月8日には、青海省の北西に隣接する新疆省でもガチョウの大量死(460羽)があったことを報告した。こちらもH5N1型ウイルスによるものだった。

 2件の渡り鳥の大量死を注目しなければならないのは、H5N1ウイルスがより強力なタイプに変化しているかもしれないからだ。通常は、ガチョウなどではH5N1ウイルスによる感染死は出ないとされることから、H5N1ウイルスが変異している可能性も出てきたのだ。

 WHOは5月にまとめた報告書「Influenza A/H5N1 in Humans in Asia」などで、鳥インフルエンザのH5N1ウイルスが、ヒトからヒトに感染しやすいタイプのウイルスに変化しつつある可能性を指摘、警告してきた。これを裏付けるかのような渡り鳥の大量死は、より一層、警戒を強めなければならないことを意味する。

 2004年1月28日以降、6月8日までにWHOに報告されたヒトの高病原性鳥インフルエンザA(H5N1型)感染確定症例数は、累計で100例に達している(図)。国別で見ると、ベトナムが79例(うち死亡38例)、タイが17例(うち死亡12例)、カンボジア4例(うち死亡4例)となっている。



 ここに中国の名はない。だが、青海省では家畜ばかりかヒトでも感染死があったとする非公式情報もあり、予断を許さない。(三和護、医療局編集委員)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 医師はスペシャリストの前にゼネラリストたれ 記者の眼 FBシェア数:324
  2. 厚労相が学会で明かした抗菌薬削減の奥の手 記者の眼 FBシェア数:1071
  3. 映画を通じて麻酔科医の仕事をより理解してほしい 医療マンガ・ドラマの裏話を教えます! FBシェア数:26
  4. 「とりあえずバンコマイシン」を見直そう リポート◎MRSA感染症ガイドライン2017の改訂ポイント FBシェア数:448
  5. カンピロバクター感染で気付いた思わぬ異常 田中由佳里の「ハラワタの診かた」 FBシェア数:62
  6. 医療事故調査・支援センターには利益相反が生じてい… 全国医学部長病院長会議「大学病院の医療事故対策委員会」委員長・有賀徹氏に聞く FBシェア数:36
  7. 新薬の「14日間ルール」見直し求める トレンド(DIオンライン) FBシェア数:82
  8. 予算は30万円。ふるさと納税をやってみよう Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:81
  9. BPSDには非薬物療法が最良の選択肢なのか? プライマリケア医のための認知症診療講座 FBシェア数:88
  10. どうなってるの? 扁桃摘出の適応 Dr.ヨコバンの「ホンマでっか症例帳」 FBシェア数:94