2005.06.14

【裁かれたカルテ】 糖尿病ケトアシドーシスに起因する多臓器不全で死亡 被告医師の判断・処置に誤り、7000万円余の賠償認める

 糖尿病ケトアシドーシスに起因する多臓器不全で死亡した事例で、遺族らは、被告医師に過失があったためとして、8000万円余の損害賠償を求め提訴。裁判所は、被告医師の判断・処置に誤りを認め、7000万円余の損害賠償を認める判決を下した。今回は、治療が適切だったかどうかが争われた判例を紹介する。

 裁判では、被告病院で行われた治療が適切だったかどうかが最大の争点となった。具体的には、(1)輸液、インスリンなどの量が適切だったか、(2)患者がIVHを外した際に適切な処置をしたか−−の2つ。

■事件概要(詳しくは有料ネット講座「まさかの時の医事紛争予防学」で提供しています)。

■輸液量はそもそも大幅に不足していた

 裁判所はまず、輸液量に着目。事件当時の医療水準では、糖尿病ケトアシドーシスに罹患した通常の患者については、症状の大幅な改善が認められない限り、1日当たり少なくとも5000mL程度の輸液量が求められているとした。また、Aさんが事件当時、約130kgという肥満体だったことを考えると、この標準量をさらに上回る量の輸液が必要だったと認定した。
 
 しかし、被告医師が試みた輸液の総量は、輸液開始から被告病院を退院したときまでの47時間余りで、多くても4420mLにすぎなかったため、「必要とされる輸液量を大幅に下回っていたものと評価せざるを得ない」と判断した。Aさんが自らIVHを外して、看護師によって輸液が再開されるまでの約12時間は、輸液が全く行われなかった事実にも言及し、「輸液量は4420mLをさらに下回っていた」と断じた。

 結局、「輸液量はそもそも大幅に不足していた」のであるから、この点で「被告医師Dの判断及び処置に誤りがあった」と結論付けた(詳しくは有料ネット講座「まさかの時の医事紛争予防学」で提供しています)。

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