2005.06.09

新規開業の落とし穴−−日経ヘルスケアの特集

 「日経ヘルスケア21」は複雑な制度改正の動向や、厳しさを増す経営環境の変化をいち早くウォッチ。勝ち抜くための具体的なノウハウとヒントを毎号提供しています。6月号の特集では、既に開業した先生が実際にはまってしまった“落とし穴”から、トラブル回避のための教訓を読み解いています。

■■新規開業の落とし穴■■ 「日経ヘルスケア21」6月号特集より

 開業地の選定、診療圏調査、ビルの入居契約、スタッフの採用……。診療所を開業するための準備作業は多岐にわたりますが、医師にとってその多くは初めて経験することばかり。そのため、予期せぬ“落とし穴”にはまってしまうことが少なくありません。

 「日経ヘルスケア21」6月号では、「新規開業の落とし穴〜失敗事例から読み解くトラブル回避術」と題した特集記事を掲載しています。先輩開業医の“貴重な失敗経験”から導き出される教訓を、これから開業を目指す医師の方々に活用していただきたいと思います。

 特集「新規開業の落とし穴」の中から、少しだけさわりを紹介しましょう。

 ここでは、5つの失敗事例を取り上げました。

(1)無料開業支援】

 開業準備をサポートするコンサルタントの中には、「無料」という触れ込み開業支援するケースが少なくない。ただ、本当に「無料」なのかというと必ずしもそうではない。コンサルにとってほかに何らかのメリットがあり、開業支援にかかったコストを十分に取り返す見込みがあるので、表面上は「無料」で引き受けるわけだ。

 A医師も「無料」に疑問を抱きつつも、コンサルに指導を仰いだ。無料コンサルの狙いは近隣に薬局を開業することだったが、A医師は義妹に薬局を開業させたいと考えていた。そのことをコンサルに伝えると、コンサルは開業支援の手を抜くようになって……。

(教訓)「無料」だからお得、という考えはまず捨てるべきです。また、開業準備をすべてコンサルに任せきりにしてしまうことも避けるべきでしょう。


(2)建物設計・施工のトラブル】

 大手建設会社との間で設計や工事費をめぐってトラブルとなった事例を紹介。

 B医師は、建設会社と設計の打ち合わせをするたびに、設計変更による追加費用が発生し、当初の見積額にどんどん上乗せされていくことに納得がいかなかった。

 設計はなかなか固まらず、開業予定日が迫っていたことから、内装の設計が固まらないまま、躯体を着工。その後、設計は固まったが、総工費は、当初の見積額の1.3倍以上に膨れあがってしまった。その後、建設会社から突然の工事中止の通告が……。

(教訓)こうしたトラブルを避けるには、設計と施工を担当する会社を分けて、設計会社に施工を監視してもらう方法が有効です。


(3)賃貸ビル入居契約でのトラブル】

 築33年と古い賃貸ビルだったが、交通至便の絶好の立地にあり、家賃も周辺相場より格段に安かった。ビルは70代のオーナーが個人で直接管理していて、専門のビル管理会社を入れていなかった。「こんな優良物件は二度と見つからないかもしれない」と喜び勇んだ医師は、早速、入居契約を交わした。ところが、この物件は、電気やガスなどの設備面に問題のある“欠陥物件”だった……。

(教訓)賃貸ビルを選択する際には、ビルがしっかりと管理されているかを見極めるのが重要なポイントの一つです。その点で言えば、専門の管理会社が管理するビルを選ぶのが無難でしょう。


(4)メディカルビル】

 先輩がメディカルビルで開業して成功していると聞き、自分もメディカルビルで開業したいと考えたD医師。インターネットで新築計画中の物件を見つけた。建設予定地を訪れ、駅から近い好立地であることを確認すると、早速、入居予約をした。

 ところが、ビルの着工後、他のフロアに入居するはずだった診療所が内定をキャンセルしていたことが発覚。その後もテナントが決まらず、結局、開業したのはD氏ただ一人だった……。

(教訓)実は、このケースでは、メディカルビルを運営する不動産会社もD医師自身も患者数の予測や診療圏調査をまったく実施していませんでした。「メディカルビル=集患力がある」と思い込むのは危険です。テナントが“歯抜け状態”になっていれば集患力は通常よりもむしろマイナスですし、メディカルビルは賃料が一般の賃貸ビルの相場より高いケースが多いので、診療圏調査をしっかり行い、割高分だけのメリットがあるかどうかを冷静に検証する必要があるでしょう。


(5)スタッフ採用】

 「意思疎通のよい職場」を目指したE医師は、スタッフも顔見知りで固めた方がいいと考え、勤務先の病院職員やその職員の紹介などでスタッフを集めた。ところが開業後、E医師の気の優しさが裏目に出て、ある看護助手が我が物顔で振る舞うようになり、勤務態度が悪化。しかも、それに同調する職員も出てきた。E医師は看護助手を注意したが、勤務態度は改善せずついに……。

(教訓)確かに顔見知りである方が意思疎通を図りやすいのですが、その半面、「なれ合い」の状態になりやすいので注意が必要です。公私をきちんと分けて、仕事中は上下関係や指揮命令系統を意識して振る舞うように、朝礼などで職員を指導すべきです。

 日経ヘルスケア21のホームページはこちら↓
http://medical.nikkeibp.co.jp/nhc/

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