2005.06.02

【リウマチ治療の将来に関するアンケート調査2005】 今後注目すべき疾患とその理由は

 MedWaveは日本リウマチ学会の開催を機に、「リウマチ治療の将来に関するアンケート調査2005」を実施した。MedWaveの会員医師に調査への協力を求め、5月12日までに101人から回答を得た。調査では、最近目立ってきた疾患や今後もっとも注目すべき疾患について尋ねた(関連トピックス)。今回は、注目すべき疾患とその理由について報告する。



 前回報告したように、今後もっとも注目すべき疾患を1つ挙げてもらった結果、「関節リウマチ」が57.4%でトップだった(図3)。「シェーグレン症候群」と「血管炎症候群」がそれぞれ9.9%で続いた。


◆関節リウマチ
患者数の多さと治療薬の進展を指摘

 「関節リウマチ」を挙げた人で、今後もっとも注目すべき理由の記入があったのは35件だった。そのほとんどは、「患者数の多さ」を指摘していた。

 たとえば、「専門外であるなしにかかわらず、地域で一番遭遇する機会が多い疾患である」(35〜39歳、一般病院勤務、産婦人科)、「一番診療する機会が多い」(30〜34歳、大学病院勤務、整形外科)など。60万から70万人という患者数を挙げ、対象となる患者数が多いことを訴える意見もあった。

 中には、「頻度的に多く、家庭の中心である女性(30〜50歳)に発症し、病気による直接的な経済損失ばかりでなく、家庭に及ぼす間接的な影響も大きい。進行性の疾患であり、現在の薬物治療では運動機能障害の悪化を止めることはできず、今後の高齢社会において、要介護の問題が表出してくる」(45〜49歳、大学病院勤務、リハビリテーション科)と警鐘を鳴らす意見もあった。

 患者数の多さだけでなく、治療薬の進歩を評価するものも目立った。

 「新しい薬を試してみたい」(40〜44歳、診療所開業、整形外科)、「生物学的製剤により緩解の可能性が出てきた」(35〜39歳、診療所開業、整形外科)、「対象となる患者数が多く、またQOLを著しく損なう疾患であるが、最近予後の改善を期待できる薬剤が使用できるようになった」(40〜44歳、診療所勤務、内科)などだ。「治癒できうる疾患になる可能性がある。もしくは、変形などの後遺症を防げるから」(30〜34歳、診療所勤務、内科)、「原因に対する治療ができるようになってきた」(45〜49歳、診療所勤務、内科)、「生物学的製剤の開発により疾病を撲滅することも期待できる」(50〜54歳、診療所開業、整形外科)などと期待を寄せる意見も少なくなかった。

 一方で、「患者人口が多く、効果的且つ副作用の少ない治療法が確立していない」(35〜39歳、大学病院勤務、内科)、「診断基準と治療の標準化と治療成績の評価が急がれる」(55〜59歳、診療所開業、内科)と治療法の確立を求める声もあった。

 このほか、「関節リウマチでも高齢化がみられ、治療においても配慮が必要となっている。また、生物製剤などの出現でその恩恵をえられる患者さんばかりではなく、むしろ多剤耐性や合併症の問題をかかえた患者さんも増えてきており、そのような患者さんへの対応も考慮しなければならない」(45〜49歳、大学病院勤務、内科)と患者の高齢化を指摘し、高齢者への配慮を主張するものもあった。

 「早期に診断すれば、予後もよくなり、長期的な患者さんのADL、QOLに大きな影響がある。早期診断のために、抗CCP抗体を保険適応にして欲しいし、MRIも気軽にとれるようにしてもらいたい」(50〜54歳、一般病院勤務、内科)と保険制度への注文もあった。


◆シェーグレン症候群
「高齢化による口腔内の乾燥と考えられているものが多い」

 シェーグレン症候群については、8件の記入があった。

 「増えている」と指摘する意見が4件余りあった。「口腔内の乾燥を訴える方が多くなってきたから」(35〜39歳、一般病院勤務、内科)、「他の疾患群(特に消化器疾患)との合併が多い」(40〜44歳、大学病院勤務、内科)などだが、中には「高齢化による口腔内の乾燥と考えられているものが多い」(50〜54歳、一般病院勤務、内科)と注意を促すものもあった。

 「不定愁訴が多く、疾患概念が確立しているとは言い難い。しかも治療手段もまだ限られている。しかし、不定愁訴から早期診断に至ることができれば、早期からの介入が有効になる可能性がある」(30〜34歳、一般病院勤務、小児科)と、早期診断の確立が急がれるとする意見もあった。


◆血管炎症候群
「臨床で遭遇する機会が増えた」

 「患者数が増加傾向にある印象を持っている」(45〜49歳、一般病院勤務、内科)など、やはり患者数の増加を理由に挙げた人が多かった。8件ほどの記入のうち、患者数の増加を指摘するものは、半数に及んだ。

 「疾患概念が認知されてきたので、臨床で遭遇する機会が増えた」(30〜34歳、内科)、「じん肺患者さんの診療にあたっていると、自己免疫疾患によく遭遇するが、特に血管炎症候群から腎不全になる症例が増加している」(40〜44歳、一般病院勤務、内科)など。「生活習慣病の蔓延に伴って、血管へのダメージが増大すると思われる」(45〜49歳、一般病院勤務、外科)と今後の増加を懸念する声もあった。

 このほかの疾患については、以下に列挙した。

◆全身性エリテマトーデス
・合併症もあり全身疾患であるから(40〜44歳、診療所勤務、内科)
・関節リウマチはかなり根本から疾患を抑える治療法が急速に開発されたにもかかわらず、全身性エリテマトーデスは今のところ、ステロイド以上の治療法がなかなか開発されておらず、RAに対する生物製剤と同様な機序の薬剤の開発が今後なされるべきである(45〜49歳、一般病院勤務、内科)
・精神症状を伴うから(40〜44歳、一般病院勤務、精神神経科)

◆抗リン脂質抗体症候群
・脂質異常であることからメタボリックシンドロームとの関連性の上でも注目する(40〜44歳、診療所開業、整形外科)
・確定診断が容易になった(55〜59歳、その他、内科)

◆全身性強皮症
・治療法が確立されていないし、重症化しやすい(40〜44歳、一般病院勤務、内科)
・現在効果的な治療法がない(40〜44歳、一般病院勤務、内科)

◆混合性結合組織病
・多彩な病変があり、かつ軽症が多い(40〜44歳、一般病院勤務、内科)

◆その他(自己免疫性疲労症候群、成人スティル病を挙げた人がいた)
自己免疫性疲労症候群:患者数が多く、不登校の原因ともなっているため(45〜49歳、大学病院勤務、小児科)
成人スティル病:診断がついていない症例が多い(40〜44歳、一般病院勤務、内科)

(まとめ:三和護、医療局編集委員)

*回答者の主な属性
◆年齢:30〜34歳13人、35〜39歳11人、40〜44歳29人、45〜49歳29人、50〜54歳12人、55〜59歳5人、60歳以上2人。
◆診療科目:内科55人、外科5人、整形外科24人、産婦人科2人、小児科3人、精神神経科2人、皮膚科1、眼科1人、総合診療科2人、リハビリ科1人、麻酔科1人、その他の科4人。


■関連トピックス
◆ 2005.5.25 リウマチ治療の将来に関するアンケート調査2005】半数以上が「ガイドラインで診療内容が変わった」
◆ 2005.5.27 リウマチ治療の将来に関するアンケート調査2005】現在、処方しているリウマチ治療薬とその処方理由
◆ 2005.6.1 リウマチ治療の将来に関するアンケート調査2005】最近目立ってきた疾患、あるいは今後もっとも注目すべき疾患は何か

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