2005.06.01

【編集委員の視点】 「おたっしゃコール」が挑む、地域ぐるみの高齢者支援

 「おたっしゃコール」。これは、自動発報機能を備えた電話機を軸にして、高齢者の安否確認、健康状態の把握などのサービスを提供する事業の総称だ。NPO法人デイコールサービス協会が手がけているが、単に個々の高齢者を対象にしたサービスに留まらず、地域ぐるみの高齢者支援サービスに発展する可能性が見えてきた。

 事業の柱の一つは、毎日の安否確認と会話。自動発報機能がついた電話機を利用者宅に設置し、利用者と相談の上で設定した時間がくると、コールセンターに自動的に電話がかかる。その際、利用者とセンターの担当者が簡単な会話を交わすことで、安否確認や健康状態の把握を行う仕組み。これまでに、大阪の守口市や交野市、枚方市などでモデル事業を実施し、現在も十数人の高齢者にサービスを提供している。

 おたっしゃコールの受信側であるコールセンターには、地域の町内会や老人会、民生委員やボランティアらも参加できる。この点が、地域ぐるみの高齢者支援サービスへの展開につながりうる。デイサービス協会は、地域コールセンターのバックアップ機能を担うわけだ。

 サービスの利用者と想定されているのは、一人暮らしの高齢者や高齢者夫婦、あるいは身体障害者ら。彼らのコールを地域の町内会や老人会、民生委員やボランティアらが受けることになれば、地域コールセンターは、地域による見守りの拠点となるばかりでなく、参加者らの交流、特に世代間の交流を促す場にもなる。「地域のコミュニティを育てるきっかけにもなる」(デイコールサービス協会理事長の松本敏氏)。

 実際に、こうした地域ぐるみの高齢者支援サービスに着目する動きが出てきた。松本氏によると、ある在阪の警備会社は、今秋をめどに、自治体とのモデル事業に乗り出すという。また、来春に枚方市内に開業予定の診療所は、在宅医療サービスの一環として、おたっしゃコールを採用する計画だ。

 地域ぐるみの高齢者支援は、災害時にも威力を発揮しよう。事前に利用者から災害時の連絡先などを提示してもらい、安否が確認できないような状態に陥ったときに、どのような方法で連絡を取り合うかなどを確認することもできるからだ。昨年の集中豪雨で、一人暮らしの高齢者や高齢者夫婦らが孤立していたことが大々的に報道されたが、こうした事態を招かないためにも、地域ぐるみの高齢者支援が待ったなしであることが分かる。

 なお、おたっしゃコールの電話機にも、緊急通報機能は備わっている。従来の緊急通報装置と明らかに異なるのは、緊急事態の予防に注力している点だ。実際に、日々の会話のやり取りを機に、ひきごもりがちだった高齢者が積極的に外出するようになるなどの効果も確認されている。そこには、これまでの緊急通報装置にはなかった「介護予防」の意識が宿っているわけで、介護保険の見直しで急浮上した介護予防の考え方を先取りしていた点でも評価できるだろう。(三和護、医療局編集委員)


*NPO法人デイコールサービス協会のホームページは以下まで。
http://www.npotown.net/home/dayc/

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