2005.05.17

【日本糖尿病学会2005】 糖尿病薬物治療中の低血糖の発現率は7%

 糖尿病薬物治療中の低血糖の発現率は7%であることが報告された。5月14日のポスターセッションで、国立病院機構名古屋医療センターの林誠氏らが発表した。

 糖尿病の薬物治療が伸展する中、低血糖の発生率と薬剤との関係を把握しておくことは、服薬指導上、重要な意味を持つ。林氏らは、薬物治療中に低血糖を示した症例を調査し、その発生頻度と危険因子を検討した。

 対象は、2003年4月から2004年3月までの1年間に、国立病院機構名古屋医療センターで糖尿病の薬物治療を受けた1829人。来院時あるいは入院中に行われる随時採血検査で、観察期間中に一度でも血糖値が60mg/dL以下を示した症例を低血糖症例とし、その発現率を検討するとともに、患者背景、使用薬剤、血液検査値などとの関連を分析した。

 患者背景は、男性65人、女性63人。1型糖尿病が31例、2型糖尿病が96例(不明1人)。年齢は61.4±14.3歳、HbA1cは7.45±1.62%だった。糖尿病歴は17.5±9.87年だった。なお、網膜症が56例、神経障害が69例、腎症が69例となっていた。血清クレアチニン値は1.36±1.68mg/dL、BUN値は、24.6±17.2mg/dLだった。

 調査の結果、低血糖を来たした症例は128例となり、観察期間中の発現率は7.0%だった。低血糖を来たした症例の薬物療法の内訳は、インスリン69%、インスリンと経口血糖降下薬の併用14%、経口血糖降下薬17%となっていた。

 経口血糖降下薬の治療薬ごとに分析したところ、単独療法の場合、グリベンクラミドが2.78%(216例中6例)、グリクラジド2.68%(149例中4例)、グリメピリド1.30%(77例中1例)、メトホルミン1.27%(79例中1例)、ボグリボース1.08%(93例中1例)などだった。併用例では、SU薬とBG薬が1.10(365例中4例)、SU薬とαGIが1.55%(258例中4例)、SU薬とBG薬とαGIが1.72%(58例中1例)だった。結局、経口血糖降下薬の使用例では、低血糖の発現率は1.74%だった。なお、治療薬によって有意に高いものは認められなかった。

 インスリンの種類別に発現率を見たところ、単独療法の場合、超速攻型単独が22.2%(27例中6例)で多く、混合型19.2%(207例中40例)、速攻型10.0%(10例中1例)、中間型9.09%(44例中4例)だった。

 併用例では、速攻型と中間型の併用が27.5%(51例中14例)で多かった。以下、超速攻型+中間型21.7%(60例中13例)、速攻型+混合型+中間型20.0%(5例中1例)、超速攻型+混合型+中間型12.5%(8例中1例)、速攻型+混合型と超速攻型+混合型がそれぞれ11.1%(36例中4例)となっていた。結局、インスリンの使用例では、低血糖発現率が19.56%で、高率だった。インスリンの種類によって有意に高いものは認められなかった。

 インスリンと経口血糖降下薬の併用例では、低血糖発現率は15.25%だった。こちらも、併用の組み合わせによって有意に高いものは認められなかった。
 
 研究では、低血糖の危険因子を分析しているが、2型糖尿病でHbA1cが低い患者、または2型糖尿病で血清クレアチニン値や尿素窒素(BUN)値の高い患者に低血糖の発現が多いことが明らかになっている。(三和護、医療局編集委員)


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