2005.05.09

処方薬の消費者向け広告、抗うつ薬の処方不足を是正し、適切なケアを促す可能性

 米国で行われている処方薬の消費者向け直接広告(DTC)が、抗うつ薬について、処方不足を是正する可能性がある。また、患者が薬に関する要求をした方が、専門医への紹介などを含め、初診時により適切なケアを受けられる可能性が増えるという。これは、米California大学Davis校のRichard L. Kravitz氏が、米国立衛生研究所(NIH)の助成を受けて行った研究の結果で、Journal of American Medical Association(JAMA)誌2005年4月27日号で発表した。DTCについては、薬の過剰投与につながるといった批判もあるが、一方で患者にとって良い効果をもたらす場合もあるようだ。

Kravitz氏らは、プロの俳優などに訓練を施した疑似患者(standardized patients )18人を採用、カリフォルニア州内3都市の152人の医師に対し、計298回の“受診”を試みた。うつ病を装ったグループと、うつ状態を伴う適応障害を装ったグループをそれぞれ3群、計6群に分けた。1群の想定患者は診察時に、特定ブランドの抗うつ薬について、服用すべきかどうかを医師に質問した。2群の想定患者は、ブランド名を挙げず、一般的な抗うつ薬の服用について尋ねた。3群の想定患者は、抗うつ薬に関しては自分から質問しなかった。

 その結果、うつ病を装った患者で、抗うつ薬の処方を受けた割合は、一般的な抗うつ薬の質問をした群が最も高く76%、次いでブランド名を挙げた群が53%、薬について質問しなかった群が31%だった(p<0.001)。また、診療ガイドラインでうつ病の初診時の適切なケアとして定められた、(1)抗うつ薬の処方、(2)より専門的な精神衛生ケア施設への紹介、(3)2週間以内の再診――のいずれかを受けた患者の割合についても調べた。こうした適切なケアを受けた患者の割合は、一般的な抗うつ薬の質問をした群が最も高く98%、ブランド名を挙げた群が90%、抗うつ薬について質問しなかった群が56%と最も低かった。

 一方、うつ状態を伴う適応障害を装った患者では、抗うつ薬を処方された割合は、ブランド名を挙げた群が55%、一般的な抗うつ薬の質問をした群が39%、抗うつ薬について質問しなかった群が10%だった(p<0.001)。

 研究グループは、こうした結果を基に、うつ病とうつ状態を伴う適応障害では、DTCは抗うつ薬の過剰投与を促す一方で、処方不足を予防する可能性がある、としている。

 本論文の原題は「Influence of Patients’ Requests for Direct-to-Consumer Advertised Antidepressants」、アブストラクトはこちらまで。(當麻 あづさ、医療ジャーナリスト)

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