2005.04.21

【日本リウマチ学会2005速報】 関節リウマチを疑うが診断基準を満たさないとき、抗CCP抗体陽性であれば抗リウマチ薬治療を開始すべき

 関節リウマチが疑われるが診断基準を満たさない症例は少なくない。このような場合は、早期診断での有用性が評価されている血清マーカー、抗シトルリン化タンパク抗体(抗CCP抗体)に着目し、「抗CCP抗体陽性であれば抗リウマチ薬治療を開始すべき」とする見解が報告された。4月20日のシンポジウム「RAの早期診断」で、京都大学の三森経世氏が発表した。

 抗CCP抗体は、早期関節リウマチの診断で有用性が実証されつつあるもので、その感度と特異度の高さから、有力なマーカーとして期待されている。三森氏らは、診断が確定していない関節炎において抗CCP抗体がどのような臨床上の意義を持つのかを解明するため、以下のような検討を実施した。

 対象は初診時診断が未確定の関節炎100例。原則として発症2年以内の多発関節痛/関節炎で米国リウマチ学会の基準を満たさない症例だった。初診時に抗CCP抗体とリウマトイド因子(RF)を測定し、その後の転帰を追跡調査した(追跡は最長で3年間)。

 初診時と1年後、2年後の手のX線写真について、骨破壊の進行具合をLarsenスコアで評価した。なお、抗CCP抗体はAxis-Shield社製ELISAキット(カットオフ値は5.0U/mL)を使用し、RFはラテックス免疫比濁法(カットオフ値は11.7U/mL)で測定した。

 その結果、初診時に抗CCP抗体が陽性だった群は35例、陰性だった群は65例だった。これらの転帰をみると、抗CCP抗体陽性群では、RAが22例、RA疑い5例、他のリウマチ性疾患7例、診断未確定1例だった。一方、抗CCP抗体陰性群では、RA9例、RA疑い3例、他のリウマチ性疾患30例、診断未確定23例となった。抗CCP抗体陽性群で転帰が「RAあるいはRA疑い」だった症例は77%、一方の陰性群では18%で、有意に陽性群の方が高かった(p<0.00001)。

 参考までに初診時RFが陽性だったグループで、転帰が「RAあるいはRA疑い」だった症例は48例中25例(52%)で、抗CCP抗体陽性群よりは低かった。

 ちなみに、抗CCP抗体陽性群で転帰が他のリウマチ性疾患だった7例の内訳は、シェーグレン症候群が3例ともっとも多く、回帰性リウマチ、強皮症などがそれぞれ1例あった。一方、抗CCP抗体陰性群で転帰が他のリウマチ性疾患だった30例の内訳は、変形性関節症(OA)が10例でもっとも多く、ほかはSLE4例、反応性関節炎2例などだった。

 これらの結果をもとに、三森氏らは初診時抗CCP抗体とRFとを組み合わせた診断について、診断率を求めた。

 結果は抗CCP抗体が陽性でRFも陽性の場合、25例中RA例数は20例となり、診断率は80%と高率だった。抗CCP抗体陽性でRF陰性では10例中RA例数が7例で診断率は70%に下がっていた。また、抗CCP抗体が陰性でRF陽性の場合は、23例中RA例数が5例で診断率は22%、抗CCP抗体陰性、RF陰性の場合は、42例中RA例数は7例で診断率は17%に過ぎなかった。

 これらの結果から三森氏は、抗CCP抗体はRAと非RAの早期に層別化する能力に優れ、臨床経過を予測し、早期診断と早期治療指針において有用な血清マーカーであるとの結論付けた。

 その上で、私見と断った上でだが、「RAを疑うが診断基準を満たさない場合、抗CCP抗体陽性であれば抗リウマチ薬治療を開始すべき」との見解を示した。抗CCP抗体が陰性の場合は、他の疾患との鑑別に注力し、経過観察をするのがよいとの立場だった。
 
 三森氏も指摘していたが、抗CCP抗体を含んだ早期RA診断基準の策定が急がれる。(三和護、医療局編集委員)

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