2005.04.11

地中海型食生活は高齢者の余命を延長

 ギリシャAthens大学のAntonia Trichopoulou氏らは、欧州で癌や慢性疾患と食生活などの関係を調べた大規模前向きコホート研究「EPIC」のデータを分析し、地中海型の食事が、居住地域にかかわらず高齢者の全死亡率の減少に貢献することを明らかにし、British Medical Journal誌電子版に4月8日に報告した。

 地中海型食生活とは、野菜と果物、豆類、精白度の低い穀類、魚、不飽和脂肪酸(特にオリーブ油)を多く摂取し、飽和脂肪酸、乳製品(主にチーズとヨーグルト)、肉類の摂取は控え、アルコール(主にワイン)は適量、を基本とする食習慣をいう。こうした地中海型食事については様々な研究が行われ、健康への利益が報告されている。

 これまで、地中海型食生活をどのくらい忠実に実行しているかは10段階のスコアで評価されてきた。スコアと全死亡率の関係を調べた研究はあったが、標本数が小さい、ギリシャ人のみを対象とする、などの制限があった。こうした食習慣が居住地域や人種などの差を超えて広く利益をもたらすのかどうかを知るため、研究者らは今回、スコアに手を加え互換性を高めた。

 従来のスコアは、飽和脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸の比を含むが、一価不飽和脂肪酸含有量が非常に高いオリーブ油の摂取量は国によって大きく異なるため、比の分母を一価脂肪酸と多価脂肪酸の和とした。これにより、北欧や英国の人々の食事でも地中海型に近いかどうか評価できるようになった。

 対象者総数は7万4607人。1992〜2000年に行われたEPICに参加した欧州9カ国(デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン、英国)の60歳以上の男女から、登録時に冠動脈疾患や脳梗塞、癌などがなく、食事の内容と交絡因子候補に関する完全な情報がある人を選んだ。食習慣は、食物摂取頻度調査や7日または14日間の食事の記録を基にスコアで表し、全死亡率との関係をCOX回帰分析により評価した。

 地中海型食生活スコアは、健康に利益をもたらす食品(野菜、豆、果物、穀類、魚)のそれぞれについて、摂取量が平均以下だとゼロ、平均より多ければ1、健康に不利益があるとみられる食品(肉と乳製品)の摂取量が平均以下なら1、そうでなければゼロ、男性でアルコール摂取量が10g以上50g未満、女性で5g以上25g未満なら1、そして、飽和脂肪酸に対する一価および多価不飽和脂肪酸の比が平均以上なら1、そうでなければゼロとして合計した。最高値のスコア9は地中海型の食事を忠実に実践していることを意味する。

 追跡期間の平均は89カ月、その間に4047人が死亡した。個々の食物群と全死亡率減少との関連を調べたところ、野菜(死亡率0.94、95%信頼区間0.90-0.98、以下同)、果物(0.96、0.92-0.99)、穀類(0.94、0.91-0.98)、飽和脂肪酸に対する不飽和脂肪酸の割合(0.95、0.91-0.99)が死亡率減少に有意に貢献し、飽和脂肪酸(1.07、1.02-1.12)は死亡率上昇に関与が示された。

 また、スコアが0-3のグループと4-5、6-9のグループの全死亡率を比較したところ、スコア上昇は死亡率減少をもたらすことが判明した。特にスコア6-9群では調整済み死亡率が0.83(0.75-0.93)と2割近い減少になった。スコアが2上昇すると死亡率は8%減少(0.92、0.88-0.96)した。死亡率減少効果はギリシャとスペインで強く、オランダとドイツではみられなかったが、こうした国ごとのばらつきは、統計学的に有意ではなかった。

 これらの結果は、地中海型食事が、欧州の様々な集団において健康に利益をもたらすことを示した。著者らは、高齢化が進む先進国では、地中海型食習慣を推奨することが大切、と述べている。

 原題は「Modified Mediterranean diet and survival: EPIC-elderly prospective cohort study」、概要はこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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