2005.04.08

レチノールを微小カプセル化、低刺激なのに浸透量20倍 シワ対策の強力コスメ、ロート製薬が6月にも発売へ

 ロート製薬とLTTバイオファーマは、レチノールの皮膚への浸透量を20倍に高めるカプセル化技術を共同開発した。レチノールを炭酸カルシウムで包み、直径100ナノメートルの微小なカプセルに封入して皮膚の奥にダイレクトに届ける。ナノサイズの固形カプセルにレチノールを封じ込めたのは世界初の技術。この技術を生かしたレチノール配合コスメを、ロート製薬が6月にも発売する。

 レチノールコスメはシワ対策コスメの本命として一時、大ブームになったが、(1)刺激により皮膚が赤くなる、(2)レチノールの安定化が難しい――ことから、最近は製品数が大幅に減っていた。

 今回のカプセル化技術を使うと従来の弱点がなくなり、有効性も高まる。このため、レチノールが再びアンチエージングコスメの主流に躍り出る可能性が高まった。

レチノールが表皮最下層や真皮に浸透
 皮膚表面には、外部の異物をさえぎる角質層がある。微粒子のレチノールを脂肪酸で覆い、脂肪酸に炭酸カルシウムを結合させ包み込んで作る微小カプセルは、角質層の厚さの200分の1の大きさ。このため、カプセルは角質層の細胞のすき間をすり抜けて、シワ対策に重要な表皮最下層や真皮の細胞に入り込む。

 細胞内に入ると、カプセルからレチノールが染み出て細胞分裂を促し、ヒアルロン酸やコラーゲンなどを増やす。その結果、肌は弾力を増し、シワが減る。

 標的になる細胞に届くまではレチノールはカプセルに包まれているので、肌が赤くなるといったレチノールによる刺激が出ない。炭酸カルシウムの微小カプセルはやがて分解されるが、体に害はなく、皮膚の細胞や血管に吸収されるという。

 ロート製薬では、表皮の最下層の細胞にレチノールが大量に浸透することを証明した。レチノールの微小カプセルを塗って8時間後、表皮に浸透した量を測定すると、カプセル化しない場合の20倍以上だった。

 しかも、「標的の細胞内にレチノールが効率的に届くので、レチノールの配合量を減らしてもよく効く。このため、皮膚への刺激をより少なくできる。また、微小カプセルは浸透するまでは分解されないので、製品の安定性が高い」と、LTTバイオファーマ会長で薬剤デリバリー技術に詳しい水島裕氏は話す。

 レチノールを皮膚の奥に届けるこのカプセル化の基本技術は、LTTバイオファーマが開発を進めてきた。同社は、皮膚の若返り治療薬レチノイン酸をナノメートルサイズにカプセル化することで、皮膚への刺激が大幅に減ることを解明していた。

 今回は、この微小カプセル化技術を化粧品成分のレチノールに応用したもの。「医療用医薬品の薬剤デリバリー技術を、市販の外用薬や医薬部外品、化粧品などに転用していくことで、有効性を高めることができる」と水島会長は語る。

 同社は東京慈恵会医科大学や聖マリアンナ医科大学と関連する大学発ベンチャー企業で、水島会長は東京慈恵会医科大学のDDS研究所所長でもある。

 ロート製薬は、同技術を使ったコスメ「オバジ パーフェクトリフトAA(Obagi Perfect Lift AA)」を6月にも発売する予定。価格・内容量は未定。(藤井省吾、日経ヘルス


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