2005.03.29

【各論】 安全管理措置、従業者の監督及び委託先の監督

Q4-1 適切な安全管理措置を行うためには、個人データに該当する文書等は鍵のかかる場所へ保管しなければならないのでしょうか。

A4-1 個人データを含む書類の管理方法は、医療・介護関係事業者の規模や従業者の数などによって様々であると考えられ、すべての医療・介護関係事業者において、鍵のかかる場所への保管が義務づけられているわけではありません。
 一方、当該事業者によっては、施錠だけではなくIC カードによる入室システム等の導入が必要と考えられる場合もあります。このため、医療・介護関係事業者において、自らの事業規模や現在の個人情報の取扱い方を踏まえ、個人データの種
類に応じて、適切な管理方法を検討し、適切な安全管理措置を講ずる必要があります。


Q4-2 個人情報をコンピュータに入力するに当たり、入力者の記録を保存しておく必要はあるでしょうか。

A4-2 個人情報保護法令及びガイドラインにおいては、個人情報の入力者を記録しておくことは求めていません。医療・介護関係事業者において、安全管理措置の一環として入力者の記録が必要と判断する場合には、当該記録を保存することも考えられます。


Q4-3 ガイドラインp18に記載されている、医療情報システムを導入したり、診療情報の外部保存を行う場合の「厚生労働省が別途定める指針」は既に策定されていますか。

A4-3 医療情報システムを導入する場合などにおける技術的安全管理措置については、別途指針を定めることとしていますが、現行の「法令等に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録の電子媒体による保存に関するガイドライン」(平成11年4月22日付け健政発第517号・医薬発第587号・保発第82号厚生省健康政策局長・医薬安全局長・保険局長通知)及び「診療録等の外部保存に関するガイドライン」(平成14年5月31日付け医政発第0531005号厚生労働省医政局長通知)を平成16年度中に改訂する予定です。


Q4-4 個人データが取り扱われる業務を委託する場合、委託先の事業者名や委託先の責任者の氏名等を公表すべきですか。

A4-4 ガイドラインでは、利用目的を院内掲示等により公表するに当たり、個人データの取扱いに係わる業務を委託している場合には、その旨を公表することを求めています(参照:ガイドライン別表2)。具体的には個別の事例に応じて対応が異なりますので、医療・介護関係事業者において検討した上で判断すべきですが、委託する業務の内容により、患者・利用者等の関心が高い分野については、委託先の事業者名をあわせて公表することも考えられます。
 なお、委託先の事業者の担当者名、責任者名等については、当該本人の個人情報になりますので、それらを公表等する場合には、本人の同意を得るなどの対応も必要になります。


Q4-5 現行の業者との委託契約には、個人情報の取扱いに関する項目が含まれていません。個人情報保護法の全面施行に当たり、現契約を解消して、新しい契約を締結し直す必要がありますか。

A4-5 個人情報の取扱いに関する事項を含んだ内容で改めて契約する方法もありますが、現行の契約において、「業務の適正な執行を図る」といった類の規定がある場合には、その「適正な執行」の一環として個人情報の適切な取扱いが含まれることを確認し、具体的な取扱い等を明確化するために確認書など補足の取り決め文書を作成するなどの方法も可能と考えられます。
 なお、今後、新規に契約を締結する場合には、個人情報の取扱いについて、より具体的な取り決めが行われることが望ましいと考えます。


Q4-6 清掃業務等、個人データを直接取り扱わない業務を委託している場合は、委託契約書に個人情報の取扱いに関する事項を記載する必要はないと考えてよいですか。

A4-6 医療・介護関係事業者の施設内には様々な個人情報があります。このため、通常は個人データを直接取り扱わない業務であっても、個人情報に接する可能性に配慮する必要があると考えます。
 業務委託に当たり、委託契約書に個人情報の取扱いに関する事項をどのように記載するかについては、委託する業務の内容や当該事業者における個人情報の管理の現状などを勘案し、医療・介護関係事業者において適切な方法を検討した上
で判断することが必要です。
 また、契約書に記載すべき事項や具体的な記載内容についても、医療・介護関係事業者において委託先事業者とも相談しながら実効性のある適切な内容を定めることが望まれます。


Q4-7 医療・介護関係事業者において個人データが漏えいしてしまった場合の対応はどのようにすればよいでしょうか。

A4-7 医療・介護関係事業者において個人データの漏えい等の事故が発生した場合には、迅速かつ適切に対応する必要があります。
 まず、事故を発見した者が事業者内の責任者等に速やかに報告するとともに、事業者内で事故の原因を調査し、引き続き漏えい等が起きる可能性があれば、これ以上事故が起こらないよう至急対処する必要があります。また、関係する患者・
利用者等に対して事故に関する説明を行うとともに、行政に報告する必要があります。さらに、このような漏えい等の事故が今後発生しないよう、再発防止策を講ずる必要があります。


Q4-8 委託先において個人データが漏えいしてしまった場合の対応はどのようにすればよいでしょうか。

A4-8 委託先において個人データの漏えい等の事故が発生した場合には、委託先から速やかに報告を受け、医療・介護関係事業者としても事業者内における事故発生時の対応と同様に、適切に対応することが必要です。このためには、業務を委託する際に、委託先において個人データの漏えい等の事故が発生した場合における委託先と医療・介護関係事業者との間の報告連絡体制を整備しておくことが必要です。
 なお、医療・介護関係事業者としては、当該事故が発生した原因を調査した上で、必要に応じて委託先に対して改善を求める等の適切な措置を講ずることも必要です。


Q4-9 薬局において、処方せんの記載内容について疑義照会を行うために、処方せんを医療機関にファックスで送信しようとしたところ、誤って別の医療機関に送付してしまいましたが、どのように対処すればよろしいでしょうか。
 個人情報保護法が全面施行されることにより、処方せんをファックスで送信することはできなくなるのでしょうか。

A4-9 処方せんを交付した医師等に疑義照会を行うためにファクシミリで処方せんを送信することは、個人情報保護法やガイドラインで禁止されていません。
 個別の事例に応じて判断は異なりますが、誤送信が判明した場合には、まず、送信先に連絡して当該情報を廃棄してもらうなどの対応が必要と考えます。


Q4-10 外来患者を氏名で呼び出したり、病室における入院患者の氏名を掲示したりする場合の留意点は何ですか。

A4-10 患者の氏名は、個人を識別できる情報であり、「個人情報」に該当します。このため、患者から、他の患者に聞こえるような氏名による呼び出しをやめて欲しい旨の要望があった場合には、医療機関は、誠実に対応する必要があり
ます。
 一方、患者の氏名の呼び出しや掲示が、患者の取り違え防止や、入院患者にとっての自分の病室の確認、あるいは見舞いに来た人等の便宜に資する面もあります。また、自分の氏名等を別の患者等に聞かれることについて、どのように受け
止めるかは、患者の考え方や年齢、通院・入院の原因となる傷病の種類等によって様々です。
 このため、医療機関では、患者の希望を踏まえ、個人情報の保護も含めた適切な医療を行うという観点に立って、対応可能な方法をとることが必要です。


Q4-11 入院患者・入所者の知り合いと名乗る人が面会に見えたときに病室を教えることは問題となりませんか。

A4-11 患者・利用者の氏名は、個人を識別できる情報であり、「個人情報」に該当します。このため、入院患者・入所者から、面会者等の外部からの問い合わせへの回答をやめて欲しい旨の要望があった場合には、医療・介護関係事業者
は、誠実に対応する必要があります。
 例えば、入院患者・入所者から特段の申し出がない場合で、その人が入院・入所していることを前提に面会に見えていることが確認できるときに、院内の案内として教えることは問題とならないと思われますが、入院・入所の有無を含めた問い合わせに答えることについては問題となる可能性があります。
 また、医療・介護関係事業者における対応については、職員によって対応が異なることがないよう、統一的な取扱いを定めておくことも必要であり、本件については、あらかじめ、入院患者・入所者に対して面会の問い合わせに答えていいか確認しておくことが望ましいと考えます。

更新情報】
厚生労働省がまとめたQ&Aはこちら(pdfファイル)です。内容が更新されている場合があります。更新情報はこちらでご確認ください

■ 参考図書 ■
・医療機関のための個人情報保護対応マニュアル(詳しくはこちら
・50の医療事故・判例の教訓(詳しくはこちら

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お知らせ
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