2005.03.29

【総論】 用語の定義

Q2-1 「個人情報」「個人データ」「保有個人データ」とは、どのようなものですか。

A2-1 「個人情報」「個人データ」「保有個人データ」の定義についてはそれぞれ以下のとおりとなっています(参照:ガイドラインp6、p7)。これらの用語は、個人情報保護法における個人情報取扱事業者の義務等の規定で使い分けられていますので、具体的な義務等に応じた取扱いが必要となります。

(1)個人情報
 「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいいます。
 この「個人に関する情報」とは、氏名、性別、生年月日等個人を識別する情報に限られず、個人の身体、財産、職種、肩書き等の属性に関して、事実、判断、評価を表すすべての情報であり、評価情報、公刊物等によって公にされている情報や、映像、音声による情報も含まれ、暗号化されているか否かを問いません。
 また、個人情報保護法では、死者に関する情報は対象ではありませんが、同時に遺族等の生存する個人に関する情報でもある場合には、当該生存する個人に関する情報となり法律の対象となります。
 ガイドラインは、医療・介護関係事業者が保有する医療・介護関係の個人情報を対象とするものであり、診療録等の形態に整理されていない場合でも、患者の氏名等が書かれたメモ等であれば個人情報に該当します。

(2)個人データ
 「個人データ」とは、「個人情報データベース等」を構成する個人情報をいいます。
 この「個人情報データベース等」とは、特定の個人情報をコンピュータを用いて検索することができるように体系的に構成した個人情報を含む情報の集合体、またはコンピュータを用いていない場合であっても、紙面で処理した個人情報を一定の規則(例えば、五十音順、生年月日順など)に従って整理・分類し、特定の個人情報を容易に検索することができるよう、目次、索引、符号等を付し、他人によっても容易に検索可能な状態においているものをいいます。
 したがって、診療録等の診療記録や介護関係記録については、通常、媒体の如何にかかわらず、体系的に整理され、特定の個人情報を容易に検索できる状態で保有していることから、「個人データ」に該当します。

(3)保有個人データ
 「保有個人データ」とは、個人データのうち、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加または削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有するものをいいます。したがって、委託を受けて取り扱っている個人データや、個人情報のうち体系的に整理されていないものについては、「保有個人データ」には該当しません。


Q2-2 ガイドラインp6で「『個人に関する情報』は・・・暗号化されているか否かを問わない」と記載されていますが、暗号化されることで特定の個人を識別できなければ「個人情報」に該当しませんか。

A2-2 「個人に関する情報」であっても、暗号化により特定の個人を識別できなければ「個人情報」に該当しません。
 なお、暗号化された情報であっても、個人情報との対応表を保有している場合など、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別できる場合は「個人情報」に該当します。


Q2-3 「個人情報」とは、具体的にどのようなものがありますか。

A2-3 医療・介護関係事業者が保有している個人情報には様々なものがありますが、具体的には、以下のようなものがあります。

・患者・利用者の情報
・医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護職員、事務職員等の従業者の情報
・仕入先業者等の従業者の情報 など

 なお、診療録や介護関係記録に患者・利用者の情報のほか、患者・利用者の家族に関する情報が記載されている場合、その家族の個人情報を保有していることになります。

※このうち、従業者の情報については、「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成16年7月1日厚生労働省告示第259号)、「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」(平成16年10月29日通達)を参照してください。


Q2-4 個人情報保護法の施行前から所有している個人情報も法律の対象になりますか。

A2-4 個人情報の取得時期に関わらず、医療・介護関係事業者において保有している個人情報はすべて、法の全面施行(平成17年4月1日)とともに個人情報保護法の対象となります。
 なお、法令で規定されている保存期間を経過した診療録等についても、個人情報保護法の対象となります。


Q2-5 死亡した個人の情報については、「個人情報」に該当せず、個人情報保護法の対象にはなりませんが、どのように取り扱うべきですか。

A2-5 ガイドラインでは、患者・利用者が死亡した後においても、事業者が当該患者・利用者の情報を保存している場合には、情報の漏えい等の防止のため、生存する個人の情報と同様の安全管理措置を講ずるよう求めています(参照:ガイドラインp2)。
 また、患者・利用者が死亡した際に、遺族に対して診療情報・介護関係記録を提供する場合には、厚生労働省において平成15年9月に作成した「診療情報の提供等に関する指針」の「9 遺族に対する診療情報の提供」の取扱いに従って提供を行うことを求めています(参照:ガイドラインp4)。


Q2-6 取り扱う個人情報の数が少ない小規模の医療・介護関係事業者は、個人情報保護法の対象外ですか。

A2-6 個人情報保護法では、取り扱う個人データの数が過去6カ月間に一度も5000 件を超えたことがない小規模事業者は、個人情報事業者としての義務等は課せられませんが、ガイドラインでは、このような同法における義務等を負わない小規模事業者に対してもガイドラインを遵守する努力を求めています(参照: ガイドラインp2)。
 なお、個人情報取扱事業者の義務等を負わない事業者であっても、情報の不適切な取扱いにより、権利を侵害した場合に、民事責任を問われる可能性があることはいうまでもありません。


Q2-7 個人データの件数は、具体的にはどのように数えるのですか。

A2-7 特定できる個人の数として計算します。同一人物の情報が、診療録、看護記録、調剤録、ケアプラン、サービス担当者会議記録など複数の媒体に保存されている場合でも1件と数えます。また、診療録等に、患者等本人の情報のほか、患者等の母親に関する記述があれば、2件と計算します。
 このほか、医師・看護師・介護職員等の従業者、医薬品卸業者の社員の氏名など医療・介護関係事業者が保有している様々な個人データについても件数として計上する必要があり、それらと患者等の情報の件数の合計が、事業者の保有する個人データの件数になります。


Q2-8 個人情報保護法においては、取り扱う個人データの数が過去6カ月に一度も5000件を超えたことがない小規模事業者は、個人情報取扱事業者としての義務等を負わないということですが、「5000件」とは、「事業所」単位と「事業者」単位のどちらでカウントするのでしょうか。

A2-8 個人情報保護法の適用除外となる小規模事業者に該当するか否かは、「事業所」単位ではなく、「事業者」単位で判断します。したがって、例えば、個々の診療所や特別養護老人ホームだけでは、取り扱う個人データが5000件以下であっても、当該法人が有する全ての個人データを合計すると5000件を超える場合は、当該法人は、個人情報保護法における個人情報取扱事業者としての義務等を負うこととなります。
 なお、Q2-6にあるとおり、個人情報保護法上の義務等を負わない場合であっても、本ガイドラインを遵守する努力が求められ、本ガイドラインに基づく指導・助言等の対象となるものであることに留意が必要です。
 また、情報の不適切な取扱いにより、権利を侵害した場合に、民事責任を問われる可能性があることについてもQ2-6のとおりです。


Q2-9 法令で規定されている保存期間を経過した診療録等も、個人データの件数に含まれますか。

A2-9 医療・介護関係事業者が保存している個人データは、法令で規定された保存期間の如何を問わず、すべて件数に計上します。
 なお、法令で規定された保存期間を経過した後、個人データの廃棄を行う際には、焼却や溶解などの方法により復元不可能な形にして廃棄する必要があります(参照:ガイドラインp17)。


Q2-10 最近通院していない患者の診療録を保存していますが、それも個人データの件数に含まれますか。

A2-10 医療・介護関係事業者が保存している個人データは、作成の時期や現在診療中か否かを問わず、すべて件数に計上します。
 なお、長期間使用していない診療録等についても、安全管理措置の確保に留意する必要があります。


Q2-11 外部の業者に個人データの保管を委託していますが、それも個人データの件数に含まれますか。

A2-11 医療・介護関係事業者が保存している個人データは、管理の形態を問わず、すべて件数に計上します。


Q2-12 例えば、医療機関で保存している院内処方せんについて、インデックス等を付けずに段ボール箱に入れて保存しており、容易に検索することができない場合、個人データに該当しないと考えていいですが。

A2-12 処方せんは医療法により2年間の保存義務が課せられていますが(医療法第21条第1項第9号、医療法施行規則第20条第10号)、このように医療機関において保存すべき文書については、必要な場合に利用できるよう、適切に整理しておく必要があります。このため、処方せんは容易に検索可能な形で保存しておく必要があり、そのようにした上で、「個人データ」として取り扱うことになります。


Q2-13 遺族への開示については「診療情報の提供等に関する指針」に従って開示を行うこととされていますが、薬局の場合も当該指針に従って、遺族へ開示すればよろしいのでしょうか。

A2-13 薬局において、遺族から死亡した患者に関する診療情報の開示の求めがあった場合には、病院等と同様に、「診療情報の提供等に関する指針」に従って遺族へ開示してください。

更新情報】
厚生労働省がまとめたQ&Aはこちら(pdfファイル)です。内容が更新されている場合があります。更新情報はこちらでご確認ください


■ 参考図書 ■
・医療機関のための個人情報保護対応マニュアル(詳しくはこちら
・50の医療事故・判例の教訓(詳しくはこちら

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