2005.03.22

【日本循環器学会2005速報】 IGTの段階から拡張機能の指標のひとつであるE/A比が低下、積極的な治療が必要に

 耐糖能異常(IGT)の段階から、すでに拡張機能の指標のひとつであるE/A比が低下していることが分かった。糖尿病患者では拡張機能障害が認められるが、IGTの段階から障害が始まっている可能性が示されたわけだ。3月21日のシンポジウム「循環器疾患の成因としての糖尿病/耐糖能異常」で、大阪大学の藤田雅史氏(写真)が報告した。

 藤田氏らは、IGTが心機能、特に拡張機能にどのような影響を及ぼすのかを調べるため以下の試験を行った。

 対象は、1998年から2003年の6年間に、糖負荷試験と心臓超音波検査を受けた帝国ホテルクリニック受診者1704人。世界保健機関(WHO)の糖尿病の診断基準に基づいて、正常型、IGT、糖尿病型の3群にグループ化した後、性別や年齢をマッチングさせた977人を解析対象とした。なお、空腹時血糖異常(IFG)については対象が少なかったため解析の対象としなかった。

 正常型群は639人、IGT群は226人、糖尿病型群は112人。指標となる空腹時血糖値はそれぞれ、91±0mg/dL、93±1mg/dL、109±2mg/mg/dL。食後2時間血糖値はそれぞれ、109±1mg/dL、163±1mg/dL、245±5mg/dL。HbA1c値はそれぞれ、5.2±0.0%、5.3±0.0%、6.1±0.1%。変量分散分析によると、空腹時血糖は、糖尿病型群がIGT群および正常型群より有意に高く(各p<0.0001)、HbA1c値も、糖尿病型群がIGT群および正常型群より有意に高かった(各p<0.0001)。食後2時間血糖値は、IGT群が正常型群より高く(p<0.0001)、また糖尿病型群がIGT群および正常型群より有意に高かった(各p<0.0001)。このほか心重量が、糖尿病型群が正常型群より有意に重かった(150±2 対178±5)。

 この3群間で、左室拡張期末期径(LVDd)、左室収縮末期径(LVDs)、駆出率(EF)、短縮率(FS)を比較したところグループ間の差は認められなかった。ただし、中隔壁厚(IVS)では、糖尿病型群が正常型群より有意に厚く(p<0.0001)、後壁厚(PW)では、IGT群も糖尿病型群も正常型群より有意に厚かった(各p<0.0001)。

 拡張機能の指標の一つであるE/A比は、正常型群に比べ、IGT群も糖尿病型群も有意に低下していた(各p<0.005)。

 これらの結果を基に藤田氏は、「IGTの段階から拡張機能障害に対する積極的な治療を行うべき」と強調した。

 糖尿病患者の増加に伴い、循環器疾患と糖尿病は切り離しては考えられない時代に入っている。それぞれの専門家らが手を携え、共に立ち向かうべき時にある。(三和護、医療局編集委員)

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