2005.03.21

【日本循環器学会2005速報】 2型糖尿病患者へのアスピリン投与で、心血管系イベントが少ない傾向が確認される−−JPAD研究

 2型糖尿病患者へのアスピリン投与は、動脈硬化性疾患の一次予防に効果がある可能性が示された。JPAD研究の成果の一つで、3月21日のシンポジウム「循環器疾患の成因としての糖尿病/耐糖能異常」の中で、熊本大学の中山雅文氏(写真)が報告した。

 JPAD(Japanese primary Prevention of atherosclerosis with Aspirin for Diabeetes)研究は、多施設共同研究で、明らかな動脈硬化性疾患が認められない2型糖尿病患者を対象にアスピリンの効果を検討している。2002年12月1日から症例登録が開始され、2005年3月18日現在、全国168の医療機関から、アスピリン投与群1231例、アスピリン非投与群1238例が集積されている。

 今回の報告は、2004年9月1日までの予後調査の結果に基づくもの。対象症例は、アスピリン投与群が1001例、アスピリン非投与群が1002例だった。年齢がアスピリン投与群65±10歳、アスピリン非投与群64±10歳、男性の割合がアスピリン投与群57%、アスピリン非投与群52%、BMIがアスピリン投与群24±3、アスピリン非投与群24±4。

 臨床的な特徴としては、高血圧症がアスピリン投与群で67%、アスピリン非投与群で65%にみられたほか、高脂血症もそれぞれ54%にみられた。HbA1c値は、アスピリン投与群で7.1±1.4%(n=994)、アスピリン非投与群で7.0±1.2%(n=996)、空腹時血糖はそれぞれ146±50(n=911)、145±47(n=907)だった。

 糖尿病の治療薬としては、アスピリン投与群の場合、スルフォニル尿素剤が56%、αグルコシダーゼ阻害剤が32%、ビグアナイド系薬剤が14%、チアゾリジン系薬剤が4%に使われていた。一方のアスピリン非投与群でもこの割合はほぼ変わらず、それぞれ55%、31%、16%、5%に使われていた。

 2004年9月1日まで予後調査の結果、心血管系イベントの発生は32例で、うちアスピリン投与群が11例、アスピリン非投与群が21例だった。内訳をみると、心血管イベントはアスピリン投与群で1例、アスピリン非投与群で7例あり、心血管イベントはアスピリン投与群で低い傾向にあった。また、脳血管障害は、アスピリン投与群で7例、アスピリン非投与群で14例あり、やはりアスピリン投与群で低い傾向がうかがえた。

 副作用については、アスピリン投与群で40例(4.0%)に、アスピリン非投与群で2例(0.2%)に確認された。具体的には、胸焼けや心窩部痛、胃潰瘍などの消化器系副作用が主で、めまい、発疹、網膜出血などもあった。なお、アスピリンによる重篤な合併症は認められていない。

 これらの結果から中山氏は、「まだ中間報告の段階」と前置きしつつ、「アスピリン投与群は心血管系事故が少ない傾向にあった」と発表を締めくくった。(三和護、医療局編集委員)

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