2005.03.21

【日本循環器学会2005速報】 専門医の養成めぐり、教育・研修方法の提案相次ぐ 循環器外科では100例以上の手術経験が必要との指摘も

 学会2日目のMeet the Expertセッション5では、「いかにして優れた循環器医・循環器外科医を育成するか」をテーマに、昨年度から必修化された医師の臨床研修制度や、同じく昨年第1号が誕生した心臓血管外科専門医制度がトピックスとして注目を集めた。

 東邦大学卒後臨床研修/生涯教育センターの並木温氏(写真上)は、2年間の臨床研修が義務化されたことを、「臨床医としての基盤を築くのに8年かかるようになったこと」との認識を示し、従来の臨床研修の問題点として、1.研修プログラムが不明確、2.指導体制や研修成果の評価が不十分、3.施設間格差が明らかにされず、改善が必要な事項の把握が不完全――を挙げ、「悪いようにはしない」「お任せ」の制度に過ぎなかったと批判した。

 その上で並木氏は、優れた循環器医・循環器外科医の育成には、1.教育プログラムの重要性を認識する、2.専門医資格のような社会的に認知される総括的評価を確立する、3.すべてのプロセスを公開し、教育体制改善の努力を継続する――ことが重要だと主張した。

 一方、専門医制度について取り上げた聖マリアンナ医科大学心臓血管外科の幕内晴朗氏(写真下)は、これまで高度な医療技術の習得が軽視されてきたとの認識を示した。

 現行の卒後7年以上(一般外科4年間+心臓血管外科3年間)、術者20例+第一助手40例という要件を満たして専門医を取得する医師の数は、ごく近い将来2000人を超える見通しだという。国内では手術を要する症例が年間で5万例程度であるため、専門医1人当たり平均25例ほどの心臓大血管手術しか手がけられなくなると幕内氏は懸念する。

 幕内氏は、専門医の質的向上を図るため、術者としての手術経験数を当面50例、将来的には100例に増やすことや、研修先となる基幹施設についても、総手術数の最低水準を引き上げることなどを提案した。

 また、先天性、弁、虚血性、大血管、末梢血管という心臓血管外科分野のうち少なくとも4分野以上について修練を積むことや、原則として外科専門医資格を取得後5年以内に修練することなど、育成プログラムの整備についても必要性を訴えていた。併せて幕内氏は、関連学会などによる査察が、専門医制度の質を保証するために欠かせないと指摘した。(井上 俊明、医療局編集委員)

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