2005.03.21

【日本循環器学会2005速報】 腹部超音波法による内臓脂肪の測定が心血管疾患危険因子の評価に有用 

 腹部超音波法による内臓脂肪の測定が心血管疾患危険因子の評価に有用であることが示された。札幌医科大学の千葉雄氏らが3月20日のポスターセッションで報告した。

 Stolkらは、内臓脂肪蓄積の評価法として、腹部CT法よりも簡便で定量的な方法として腹部超音波法を提唱している(Int J Obes,2001;25:1346-1351)。千葉氏らは、これを日本人の内臓脂肪の測定に応用し、内臓脂肪距離(VFD)と心血管疾患危険因子の集積との関連を調べた。

 対象は、2003年度と2004年度に、北海道の端野町と壮瞥町の循環器検診を受診した827人(男性361人、63±12歳、女性466人、58±13歳)。なお、高血圧症、糖尿病、高脂血症治療者は除外している。

 研究では、早朝空腹時に採血を実施。同じ条件下で、身長、体重を測定しBMIを求めた。血圧は安静座位で2回計測しその平均を収縮期血圧、拡張期血圧とした。採血項目は総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、空腹時血糖、空腹時インスリン値。

 心血管疾患危険因子の診断基準は、血圧高値群は収縮期血圧が130mmHg以上または拡張期血圧が85mmHg以上、高トリグリセリド血症群は中性脂肪が150mg/dL以上、高血糖群は空腹時血糖が110mg/dL以上、低HDLコレステロール群はHDLが40mg/dL未満、インスリン抵抗群はHOMAindexが1.73以上とした。これらの5項目のうち2項目以上を満たす群を心血管危険因子集積群とした。

 その上で、内臓脂肪の蓄積の指標として内臓脂肪距離(VFD)を用い、その3分位との関連をロジスティック回帰分析で検討した。3分位では、VFDが短いグループから順に、3.5±0.4cm、4.4±0.3cm、6.2±1.1cmだった。それぞれsmallVFD群、mediumVFD群、largeVFD群とした。

 分析の結果、VFDは平均で男性5.5±1.7cm、女性4.7±1.3cmだった。男性の場合、largeVFD群はsmallVFD群に対し、年齢と空腹時血糖以外の危険因子が有意に高値だった。一方、女性の場合は、largeVFD群はsmallVFD群に対し、すべての危険因子が有意に高値だった。

 また、年齢補正した危険因子集積の相対リスクは、男女とも、largeVFD群で有意に上昇していた。男性では、smallVFD群を1とした場合、mediumVFD群がオッズ比2.84(95%信頼区間1.39-5.79、p<0.001)、largeVFD群が6.12(95%信頼区間3.05-12.3、p<0.05)だった。同様に女性では、mediumVFD群がオッズ比2.33(95%信頼区間0.98-5.52、p<0.001)、largeVFD群が6.62(95%信頼区間2.95-14.8、p<0.05)だった。

 これらの結果から研究グループは、「腹部超音波法が内臓脂肪蓄積の評価法として有用であるだけでなく、心血管疾患危険因子の評価にも有用であることが示唆された」と結論付けている。(三和護、医療局編集委員)

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