2005.03.20

【再掲】【日本循環器学会2005速報】 急性心筋梗塞に対する早期スタチン療法は心血管イベントの再発を低下させる 日本人で確認−−MUSASHI-AMIの成果

 日本人の急性心筋梗塞に対する早期スタチン療法は、心血管イベントの再発予防に有効であることが分かった。多施設ランダム化比較試験の「MUSASHI-AMI」で明らかになったもの。3月20日に開催されたFeatured Researchセッション「Clinical Trials in Ischemic Heart Disease」の中で、熊本大学の坂本知浩氏(写真)が報告した。
 
 最近の大規模臨床試験で心血管イベントに対する早期スタチン療法の有用性が示されているが、日本人にとっても有用かどうかは明らかになっていなかった。そこで研究グループは、日本人において急性心筋梗塞(AMI)の発症後96時間以内にスタチン療法を実施し、その効果を明らかにすることを目的とした。

 研究グループは、2002年2月から2004年9月まで、多施設ランダム化比較試験を実施した。参加施設は日本国内の40施設。対象者はそれぞれの施設で、24カ月間、試験のフォローアップを受けた。

 対象総数は486症例で、スタチン投与群が241例、非スタチン投与群が245例だった。486症例については、総コレステロールを180〜240mg/dLの間で管理し、スタチン投与以外は通常の治療が行われた。一次エンドポイントは、心疾患による死亡、非致死的な心筋梗塞、再入院を必要とする心筋虚血などとしている。

 症状の急転などにより対象から外れた症例があり、解析の対象は、スタチン投与群が237例、非スタチン投与群が244例だった。年齢、性別、高血圧症や糖尿病の割合、喫煙率などの患者背景で、両群に特に異なる事項はなかった。

 投与されたスタチンは、プラバスタチンが46.0%、アトルバスタチンが34.6%、フルバスタチンが13.1%、シンバスタチンが5.9%、ピタバスタチンが0.4%だった。

 注目された血清LDLコレステロール濃度は、スタチン投与群が4週目以降100mg/dLほどで推移していたの対し、非スタチン投与群は4週目以降120mg/dL超の水準が続いた(p<0.0001)。なお24カ月後には、スタチン投与群は試験開始時の134mg/dLから103mg/dLに減少していた。

 今回の発表では一次エンドポイントの結果が報告されたが、スタチン群で16件、非スタチン群で29件のイベントが確認された。内訳をみると、心疾患による死亡はスタチン群で2件、非スタチン群で1件、非致死的な心筋梗塞はスタチン群で3件、非スタチン群で0件、再入院を必要とする心筋虚血はスタチン群で6件、非スタチン群で17件−−などだった。

 Kaplan-Meier法で一次エンドポイントを解析すると、スタチン群の方が一次エンドポイントの累積イベント発生率が有意に少なかった(Log-rank検定でp=0.0433、Wilcoxon検定でp=0.0220)。心不全の累積発症率(Log-rank検定でp=0.0154、Wilcoxon検定でp=0.0199)でも、また不安定狭心症(Log-rank検定でp=0.0264、Wilcoxon検定でp=0.0297)でも、スタチン群の方が有意に低かった。

 こうした結果から坂本氏は、「早期スタチン療法は平均的血清コレステロール値にある心筋梗塞患者の心血管イベントの再発を低下させる」と結論付けた。(三和護、医療局編集委員)

訂正】
 投与されたスタチン名の記載に間違いがありました。お詫びして訂正します。(三和護)

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