2005.03.18

【日本循環器学会2005速報】 喫煙は血液中の血管内皮前駆細胞の数を減らし、遊走能も下げる

 慢性的な喫煙は血液中の血管内皮前駆細胞の数を減らし、その遊走能も下げることが分かった。久留米大学第三内科の竹下吉明氏(写真)らが3月19日のポスターセッションで発表した。

 慢性的な喫煙は心疾患の最大の危険因子の一つで、喫煙により新血管形成が損なわれることが分かっている。そこで研究グループは、出生後の血管形成に関与する血管内皮前駆細胞(EPCs)に着目し、喫煙がEPCsに及ぼす影響を調べた。

 方法は、22人の健常男性を対象に分析した。内訳は、喫煙者群が11人(24.4±2.9歳)、年齢を合わせた非喫煙者群が11人(24.9±3.6歳)。どちらのグループも高血圧症、糖尿病、高脂血症などの心疾患危険因子はなかった。

 それぞれの末梢血から単核球分画を分離し、内皮細胞培養条件で7日間培養。血管内皮細胞に特徴的な抗原(CD31、KDR、UEA-1レクチン結合能)とDil-acLDLの取り込み能を示した細胞群をEPCsとして培養した。内皮細胞のコロニー形成を計測することで、EPCsを数量化した。

 研究の結果、喫煙者群ではEPCsの数が、非喫煙者群に比べて56%減少していた(p<0.01)。また、非喫煙者群では、EPCsの数が血管内皮細胞増殖因子(VEGF、p<0.01)や塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF、p<0.05)の血漿レベルと正の相関がみられたが、喫煙者群では相関は確認できなかった。

 EPCsの遊走能を評価するModified-Boyden chamberアッセイによると、喫煙者群では、EPCsの遊走能が非喫煙者群に比べて40%も減少していた (p<0.01)。また、酸化ストレスの指標である尿中8-isoprostanの濃度は、非喫煙者群に比べ喫煙者群の方が非常に高かった(p<0.05)。

 慢性的な喫煙はEPCsに影響を与え、その数を減少させるばかりか遊走能さえも下げてしまうのであり、研究者らは、このことが喫煙者の心疾患リスクを高めることになっていると考察している。(三和護、医療局編集委員)

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