2005.03.16

薬剤溶出ステント直接比較の無作為化大規模試験、ACC2005で報告:後編 ピオグリタゾンで非糖尿病例の再狭窄抑制の可能性

 インスリン抵抗性改善薬として知られるピオグリタゾンだが、3月6日、糖尿病を合併しない冠動脈疾患例のステント後再狭窄を抑制する可能性が示された。ドイツのUniversity of UlmのNikolaus Marx氏らが、狭心症50例を対象とした無作為化二重盲検試験の結果として報告した。

 本試験では、ピオグリタゾン群とプラセボ群に無作為化後、de novo病変にベア・メタルステントを留置。留置当日より試験薬服用を開始して、6カ月間追跡した。ステント留置時の拡張最大圧がプラセボ群で有意に高くなっていた(20.4 atm 対17.5 atm、p<0.01)以外、脂質・糖代謝を含め、背景因子には差はなかった。また試験終了時の糖・脂質代謝も、両群間に差はなかった。

 試験終了時の新生内膜容積を血管内エコー法(IVUS)を用いて算出し、試験前と比較したところ、ステント内ではプラセボ群で3.1±1.6mm3/mmの増加だったのに対し、ピオグリタゾン群は2.3±1.1mm3/mmにとどまっており、この差は有意だった(p<0.05)。同様にステント外のエッジ部も、遠位部・近位部とも、ピオグリタゾン群では新生内膜容積増加に対する有意な抑制が認められた。

 また、冠動脈造影で評価した6カ月後のセグメント部(ステント+エッジ)の再狭窄率も、ピオグリタゾン群で有意に少なかった(22%対37%, p=0.01)。小規模な検討ではあるが、「ピオグリタゾンに代謝を介さない、直接的な血管保護作用がある」という仮説の基にはなり得るとMarx氏は結論した。

ステント血栓症リスクの低いDESが登場か
 薬物溶出ステント(DES)は再狭窄を効果的に抑制する反面、ステント血栓症のリスクが高いという欠点がある。6日に報告されたENDEVOR IIでは、生体適合性に優れたコーティングを施したステントからABT-578(sirolimus誘導体)が溶出するDESにより、ステント血栓症を著明に減少できる可能性が示された。

 ENDEVER IIでは、1枝にde novo病変を有する1197例を、ABT-578溶出ステント群(598例)とベアメタルステント群(599例)に無作為割り付けし、9ヶ月後の「責任病変・血管血行再建術施行」を第一評価項目として比較した。

 その結果、第1評価項目発生率は、ベアメタルステント群15.4%に対しABT-578溶出ステント群では8.1%で、有意に抑制されていた(p<0.0005)。

 それよりも興味深いのは、ステント血栓症の発生率である。本試験における抗血栓療法の施行期間はステント留置後3カ月間のみだったが、ABT-578溶出ステント群における、9カ月を通してのステント血栓症発生は3例のみで、ベアメタルステント群の7人よりも少ない傾向が認められた。

 本ステントのポリマーは従来のDESよりも生体適合性が高く設計されているため、血管内皮における遠隔期の炎症が抑制され、その結果、ステント内血栓が減少した可能性を指摘する声もある。

 現在、生体吸収性ポリマー(一定期間後に消失する)を用いたDESの臨床応用も始まっており、こちらも大規模臨床試験の成績が待たれる。(宇津貴史、医学レポーター)


■お詫び
 本記事は3月9日に掲載予定でしたが、編集部の不手際でオンエアが遅れました。著者および読者に深くお詫びして前編とともに再掲載いたします。

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