2005.03.07

【第29回 九州リウマチ学会速報】 低年齢発症の小児膠原病は先天的要因強く難治性、 重篤化を避けるには早期診断・治療が必要

 乳幼児期に発症する小児膠原病は難治性のケースが多く、症状が多彩で合併症も多い。診断確定が難しいため、治療開始も遅れがちだ。鹿児島大学医歯学総合研究科感染症制御学の前野伸昭氏が、過去30年間に同大学小児科を受診した3歳未満発症小児膠原病症例を解析し、病態と臨床像を報告した。

 同科を受診した3歳未満発症の小児膠原病例では、若年性特発性関節炎(JIA)が30例と最も多く、以下、皮膚筋炎(JDM)が5例、サルコイドーシスが3例、全身性多発性硬化症(SLE)、ベーチェット病、強皮症が1例ずつあった。混合性結合組織病(MCTD)、結節性多発動脈炎(PN)、大動脈炎、シェーグレン症候群については3歳未満発症はなかった。

 JIAでは全身型が20例。予後不良とされる全身型から多関節型への移行も35%と3歳以上の10.5%と比較して有意に高率で、寛解率も3歳以上の72%と比較して33%と非常に低率だった。また過去6例経験したマクロファージ活性化症候群(MAS)合併例のうち3歳未満の4例中2例が死亡するなど、3歳未満で発症するJIAは難治性で重篤化しやすい傾向があり、十分な警戒が必要となる。

 関節型JIAの3歳未満発症は多関節型、少関節型とも10%前後。リウマチ因子(RF)陽性は1例10%と低率だったにもかかわらず、関節拘縮に至るケースはむしろ高率だった。少関節型は予後良好で4例全例が寛解したが、多関節型6例は治療に難渋しているという。

 皮膚筋炎の3歳未満発症は5例。低年齢であるために代謝性疾患や他の膠原病と疑われ、確定診断に時間を要する場合が多いようだ。前野氏によれば3歳未満発症は寝たきりになるなど筋力低下が顕在化しやすく、皮膚潰瘍、石灰化、間質性肺炎といった皮膚筋症状以外の合併症を起こしやすい。これらの特徴を認めた場合には、皮膚筋炎を疑う必要がある。

 SLEの3歳未満発症は50例1例だけだった。6歳時に全身性多発性皮膚潰瘍が現れ、以後、さまざまな血管炎症状が出た上、ステロイドの副作用と繰り返す感染症で治療に難渋し、不幸な転帰になった。先天的免疫異常の関与が示唆された症例である。

 サルコイドーシスは早期発症の場合、JIA全身型との鑑別が非常に困難で、前野氏は JIAとして扱われている症例が多数あるのではないかと危惧する。同科でも2歳6カ月発症の1例では、弛張熱と関節腫脹を認め、全身型JIAの診断で治療していたが、ブドウ膜炎の出現を契機に10歳時に皮膚生検でサルコイドーシスの診断が確定した。生後4カ月発症の1例は発熱、発疹、四肢関節腫脹を認め全身型JIAと診断された。しかし、治療中に虹彩炎が発覚したほか、屈曲拘縮が著明で手首の嚢腫状腫脹があるが、レントゲン上骨破壊がほとんどないことから滑膜生検したところ診断がついたという。

 同氏は、「低年齢で発症するほど先天的要因が強く、難治性であるという印象を受ける。背景にある先天的病因についての解明が望まれるが、一過性で寛解する例もあり、先天的要因だけでは説明できない。一方、低年齢で発症するほど全身症状が強いようにみえる。生体予備能が低く、診断確定に時間を要して治療開始が遅れるため、重症化しやすいという特徴がある。不幸な転帰や後遺症を避けるためにも早期の診断確定、治療が必要」と強調していた。(中西美荷、医学ライター)

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