2005.03.07

【第29回 九州リウマチ学会速報】 シクロスポリンは難治性RAの疾患活動性下げ、骨・関節破壊も抑制する

 難治性関節リウマチ(RA)患者12症例に対してシクロスポリン療法を施行したところ、開始4カ月以内に疾患活動性の有意な改善が得られ、RAの治療目標である骨・関節破壊にも有効だった。3月5日の一般口演「新規抗リウマチ薬の成績 レフルノミドと LCAP」セッションで、産業医科大学第一内科学科の辻村静代氏が報告した。

 シクロスポリンは薬物抵抗性克服、サイトカイン産生抑制、破骨細胞分化・成熟抑制などの作用により、関節リウマチ(RA)による骨破壊の進行などを抑制できる可能性がある。間質性肺炎や骨髄抑制といった副作用もない。欧米では難治性RAに対してメトトレキセート(MTX)との併用が推奨されているが、本邦ではRAへの保険適応は認められていない。

 今回、辻村氏らはインフォームドコンセントを得た上で、12人のRA患者に対してシクロスポリン療法を行った。現時点で5症例が6カ月投与を終了、全例が3カ月目までの投与を終了している。

 シクロスポリン療法の効果発現は早く、CRPは投与1カ月から有意に低下、赤血球沈降速度(ESR)も4カ月目から低下傾向が認められた。DAS28で評価した疾患活動性も投与1カ月目から有意に低下した。

 またEULAR改善基準を用いたDAS28による治療反応性評価によれば、4週間以上の投与を完了した症例では、全例が中等度以上の反応を示した。MTXなどの治療不応例4例に対してはMTXとの2剤あるいは3剤併用が行われ、3例がシクロスポリンの短期治療に反応して疾患活動性が改善した。

 治療継続不能症例では少量のステロイドとの併用が有効と考えられた。間質性肺炎のため当初から積極的にシクロスポリンが選択された5例のうち2例はシクロスポリン単独投与でも効果が認められたが、辻村氏は「間質性肺炎そのものに対する効果というものがまだ不明で、至適投与法は今後の検討課題」と述べていた。

 RA治療の主要な目標である骨・関節破壊の抑制にもシクロスポリン投与は効果的だった。今回、骨破壊に対する影響を追跡評価した5症例では約6カ月のシクロスポリン投与によってSharpスコアの有意な低下が認められた。辻村氏は、骨遠位端の顕著な骨修復と間質のびらんの改善を認めた1例を含め、著明な改善を認めた3症例のX線像を供覧した。

 有害事象については、半数の症例は米国のガイドラインにおける推奨用量(体重50kg換算で125〜200mg)以下の投与であったためか、重篤な感染症や臓器障害はなく、間質性肺炎合併例での間質性肺炎増悪も認めなかった。ただし100mg以上の投与群では何らかの有害事象が出現し、高齢者、腎障害あり、他剤投与が契機となったものの計3例でクレアチニン上昇が見られ投与中止となった。このため辻村氏は、100mg以上の投与時には腎障害を中心に注意すべきだと指摘していた。

 辻村氏は、シクロスポリン療法について「12例の短期効果からの推察だが」と前置きした上で、「効果発現は比較的早いため、1〜2カ月ごとに至適投与量は検討し、100mg以上の増量時には特に腎障害に注意すべきだ。無効判定は4カ月目以降がよいのではないか」と示唆していた。

 なお、免疫抑制剤としてタクロリムスの方が先に本邦で適応認可になる見通しであることについて辻村氏は、「今回のデータを今後のタクロリムス使用例と比較することで、有効性や副作用面での対応を検討していきたい」との展望を述べていた。(中西美荷、医学ライター)

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