2005.03.07

【第29回 九州リウマチ学会速報】 扁桃腺摘出で関節リウマチが改善、有効例をいかに見出すかがカギ

 慢性咽頭痛、胸鎖関節炎を指標として難治性の関節リウマチ(RA)患者6例に対して扁桃腺摘出術(扁摘)を行ったところ、2例が寛解するなど、扁摘が有効なRA症例の存在があらためて確認された。しかし、同様の基準で症例を選択したにもかかわらず1例では全く効果が認められず、いかにして扁摘有効例を見いだすかが課題と思われた。6日午前の一般口演で大分赤十字病院リウマチ科の織部元廣氏が報告した。

 今回、扁摘を適用したのは平均年齢49歳、平均罹病期間が49カ月のRA患者6例(男性1例、女性5例)。扁摘前のCRPはやや高めで、2例がリウマチ因子(RA)陽性、1例 が抗ストレプトリジンO抗体(ASO)陽性、4例に咽頭痛、3例に胸鎖関節炎を認めた。

 織部氏らが今回の一連の扁摘を行うきっかけとなった1症例はRA罹病期間約2年、コントロール不良の34歳の女性で、慢性咽頭痛と胸鎖関節炎を併発していたことから扁摘を試みたところ著効し、RAが寛解に至った。以来、胸鎖関節炎と慢性咽頭痛を指標に、コントロール不良例に扁摘を勧めているという。メトトレキサート(MTX)をはじめとするあらゆるDMARDsに抵抗性で、慢性咽頭痛と胸鎖関節炎があったことから扁摘を勧めた1例でも寛解を得た。一方、同様に慢性咽頭炎が存在したものの、全く効果を認めない1例も経験しており、織部氏は、症例選択が今後の課題だとしている。

 軽微な慢性感染病巣が原因となって、一見無関係な部位で何らかの疾患を発症するのが「病巣感染」。機序は解明されていないが、慢性感染病巣での免疫異常の関与が指摘されている。扁桃病巣感染がRAの病因と考えられているわけではないものの、扁桃腺摘出が有効な症例があるのは事実で、上気道炎による症状悪化や持続性咽頭痛を伴う場合には、比較的侵襲の少ない扁桃摘出術を積極的に試みるべきとの意見もある。

 織部氏は、「慢性感染病巣が慢性疾患の病像を何らかの形で修飾するであろうことは容易に想像される。扁桃での病巣感染が、個々の症例の病因になっているというよりは、リウマチ炎症と共存して存在することによる増悪因子として、あるいは治療抵抗性の付加的因子として、病像の修飾に関与しているのだろう」と考察する。また文献的に扁桃組織と滑膜のT細胞のclonalityは一致しており、病巣感染とは別の意味で扁桃がリウマチ病態に何らかの形で関与しているという報告もあることから、織部氏は、凍結保存している扁桃切除切片を用いて、今後さらに研究を進める予定だという。(中西美荷、医学ライター)

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