2005.03.04

生活習慣病予防の観点からごはん食の利点を評価 日経メディカル臨床医学セミナーから

 「生活習慣病の予防─ごはん食を見直す」と題して、臨床医家を対象に伝統的な食習慣の意義を解説する日経メディカル臨床医学セミナーが昨年12月から今年2月にかけて名古屋、広島で開催された 注)。日常診療での栄養指導の機会が増えている状況を反映して、会場の臨床医から質問が相次ぐなど、高い関心を呼んだ。

 セミナーでは、食習慣と密接な関係があり、生活の質の低下をもたらす恐れのある代表的な生活習慣病として、高血圧、高脂血症、糖尿病を取り上げ、マルチプルリスクファクター症候群(メタボリックシンドローム)の危険性を示しながら、これら疾病の治療、予防における食習慣の意義・役割について講演が行われた。
 
 東京大学大学院医学系研究科内科学教授の藤田敏郎氏は、「高血圧を予防する食習慣」について講演した。

 「高血圧人口は全国で約3800万人と推計され、国民の4人に1人に相当する。高血圧は遺伝要因とともに食事、運動などの環境要因が大きく影響する。例えば、塩分摂取量が多いわが国では、減塩が最も重要な非薬物療法と考えられる。減塩については、昨年のJSH2004で、塩分摂取目標値が7グラム/日から6グラム/日に引き下げられている」。

 「予防の観点から減塩対策とともに肥満対策が重要となる。高カロリー食、高脂肪食により、日本でも肥満を伴う高血圧が急増しているが、こうした患者では耐糖能異常や脂質代謝異常を合併しやすい。これら危険因子の重複は、メタボリックシンドロームと呼ばれ、動脈硬化の発症や心血管イベントの発症を相乗的に増加させる。脂質摂取比率の多い食習慣を見直す観点から、日本の伝統食を再評価することが重要である」。

 「高脂血症を予防する食習慣」をテーマに講演した東京慈恵会医科大学内科学教授の多田紀夫氏は、メタボリックシンドロームが近年先進国を中心に増加の様相を見せていることに懸念を示した。

 「メタボリックシンドロームに対する治療は、世界的にみても、肥満、体重増加を一義的とした食生活、運動習慣などの生活改善療法が主流となっている。脂質代謝異常是正のための食事療法では、総摂取エネルギーの適正化に加え、炭水化物や脂質の質の管理も重要である。そのためには、飽和脂肪酸摂取から不飽和脂肪酸摂取への交換、トランス型脂肪酸摂取の回避のほか、果糖などの単糖類やショ糖などのニ糖類摂取から、グリセミックインデックスがより低い米飯などのデンプン類や食物繊維摂取への交換が望まれる」。
 
 東京医科大学内科学第三講座主任教授の小田原雅人氏は、糖尿病の罹患者が全世界で増加し続けて“疫病化”している現状を踏まえ、「糖尿病を予防する食習慣」と題して講演した。

 「糖尿病罹患者は、食事の西洋化と生活の都市化を背景にわが国でも顕著に増加しており、1955年以降、患者数は20倍以上になっていると考えられる。もともと日本人のインスリン分泌能力は欧米の白人と比べて低いことがわかっており、初期のインスリン分泌の立ち上がりが悪くなることが糖尿病発症に関係するとみられている」。

 「欧米型の食生活による糖質摂取量の低下と動物性脂肪摂取量の増加は、糖尿病罹患者の増加傾向と相関している。米飯はパン食に比べてグリセミックインデックスが低く、摂取カロリー量が同じでも血糖の上昇が緩やかであり、ごはんや和食の良さを見直して食生活の改善を行うことが、糖尿病をはじめとした生活習慣病の予防のために必要である」。(まとめ:日経メディカル開発)

注)セミナーは、愛知県、広島県、大阪府の各医師会と日経メディカル開発の共催、日本医師会の後援、社団法人米穀安定供給確保支援機構の協賛を得ている。

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