2005.02.06

【国際脳卒中会議2005速報】 脳梗塞発作後の救急センター到着、米都市で3分の2が8時間超

 米国の大都市シンシナティにおいて、脳梗塞の発作後、救急医療機関到着までの所要時間を調査した初の人口ベースの研究の結果、3時間以内の到着はわずか20%に過ぎず、実に3分の2(66%)の症例が8時間以上(または経過時間不明)かかっていたことが明らかになった。2月3日のポスターセッションで米University of CincinnatiのDawn Kleinedorfer氏らが発表した。

 研究グループは、オハイオ州シンシナティ市と周辺地域の全人口を対象とし、19カ所の救急病院に脳梗塞の発作で搬送された地域住民の発作から救急施設到着までの経過時間を集計した。調査は1993年7月〜1994年6月と1999年1年間の2回実施した。

 1993〜1994年に脳梗塞発作で搬送された症例は2308人、1999年には2452人だった。1993〜1994年の調査では、発作後3時間以内に到着したのは18%に過ぎず、71%が発作後8時間以上経過してから到着した。この成績は1999年の調査でも3時間以内が20%、8時間以上が66%で、わずかに改善したに過ぎない。

 脳梗塞の急性期治療法であるrt-PA(遺伝子組換え型組織プラズミノーゲン・アクチベーター)による血栓融解療法の登場で、脳梗塞の転帰を改善することが可能になったが、この治療は発作後3時間以内に実施する必要があるとされ、救急医療機関への迅速な搬送が不可欠となる。

 Kleinedorfer氏らは、「rt-PAによる血栓溶解療法の導入後、様々な一般向けの啓蒙が実施されたが5年半経過後も改善はほとんど見られなかった」としている。本学会でもrt-PA治療における有効時間の延長を模索する研究成果の報告が盛んに行われているが、発作後3〜8時間で到着した症例は1999年時点でわずか8%に過ぎず、せっかくの有効時間延長の取り組みが現場で生かせない可能性が高い。Kleinedorfer氏らは、「今後、こうした啓蒙活動の有効性についての研究が必要」と指摘していた。(中沢真也)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 息子が中学受験、それでも地方に転職した医師の決断 医師ヘッドハンティングの舞台裏 FBシェア数:6
  2. 近所で有名な「怖い看護師さん」の処遇に悩む 榊原陽子のクリニック覆面調査ルポ FBシェア数:1
  3. 娘のかかりつけ医選びで知った最近の小児科事情 記者の眼 FBシェア数:93
  4. 医師国試の合格率は88.7%、大学別合格率は? 8533人の新医師が誕生、合格率は90%を切る FBシェア数:1788
  5. これで確定申告できるの? 頼りない税理士に怒り 開業の落とし穴 FBシェア数:2
  6. 梅毒かも、結果が出るまではエッチ厳禁で 井戸田一朗の「性的マイノリティの診療日誌」 FBシェア数:49
  7. 臨床研究法が臨床研究を撲滅する 池田正行の「氾濫する思考停止のワナ」 FBシェア数:9
  8. その免疫療法、本当に推奨できますか? トレンド◎あらゆる癌免疫療法に言及した日本初のガイドライン発行 FBシェア数:407
  9. 患者の同意なく雇用先に診療情報漏示は違法 判例に学ぶ 医療トラブル回避術 FBシェア数:1
  10. はしかを診たこと、ありますか? わかる!院内感染対策 FBシェア数:84