2005.02.05

【国際脳卒中会議2005速報】 脳卒中による視野欠損の改善に効果、視神経の可塑性応用したリハビリ新技術登場

 脳卒中による視野欠損(視界の一部が欠ける症状)がある患者にとっては朗報だ。専用の装置を使って毎日1時間、6カ月間のトレーニングを行うことで、欠けてしまった視野の一部が回復できるという。ドイツOtto-von-Guericke University of MagdeburgのCarolin Gall氏らが2月3日のポスターセッションで発表した。

 Gall氏らの研究グループは、米NovaVision社が開発したVision Restoration Therapy(VRT)と呼ばれる技術を用いた。これは、パソコンベースの装置を用い、視野が欠損している領域と正常に見える領域の境界付近に、特殊なパターンの光で刺激を与えるもの。1回30分間、1日2回行う。

 臨床試験では、脳卒中や外傷などで視野欠損が生じた24人を2群に分け、15人は6カ月、他の9人は1年間のトレーニングを続けた。トレーニング終了後、平均約46カ月(3年10カ月)後に視野欠損の程度を再検査した。

 その結果、6カ月のトレーニングを実施した15人では、トレーニング開始時には約53.7%だった見える領域が、トレーニング後には約62.8%になり、約17%有意に拡大した。平均4年弱のフォローアップ後には平均値ではわずかな悪化が見られるが有意差は見られなかった。また、トレーニング期間6カ月と12カ月の2群に有意な差は見られなかったという。

 VRTの生理学的なメカニズムはまだ解明されていない。Gall氏らは、「トレーニングによって、境界領域の半ば損傷した神経網の再活性化が起きるのではないか」という。

 気になるのは治療成績の個人差だが、本研究を主宰したOtto-von-Guericke University of Magdeburg教授のBernhard Sabel氏は、トレーニングを受けた患者のうち、3分の1には効果がないかわずかな改善、3分の1は中程度の改善、3分の1は顕著な改善が見られたとしている。

 VRTは2003年4月付けで米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けており、既に700人の患者がトレーニングを受けているという。(中沢真也)

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