2005.02.05

【国際脳卒中会議2005速報】 急性虚血性脳卒中に対する局所的表面冷却法に、脳の損傷を最小限に抑える可能性

 脳卒中に対する低体温療法の応用が進んでいる。様々な療法が試みられている中、急性虚血性脳卒中に対する局所的表面冷却法に、脳の損傷を最小限に抑える可能性があることが報告された。国立循環器病センターの武信洋平氏(写真)らが2月3日、ポスターセッションで発表した。

 軽度の低体温には、虚血に対する脳保護効果があることが知られている。これまで、虚血中の脳温が常温より2、3度低下するだけで神経細胞死が抑えられたことが動物実験で確認されている。研究チームは独自の冷却ヘルメット型器具を考案、急性虚血性脳卒中の患者を対象に頭と首だけを冷やす局所的表面冷却法を開発し、治療法の有効性の実証に取り組んできた。その成果は昨年の国際脳卒中会議で発表したが、今回は脳の保護効果を解析した。

 対象は、急性虚血性脳卒中の患者24人(男性14人、女性10人、年齢中央値は73歳)。すべての症例で、発症後12時間以内にCTで確認した虚血範囲は中大脳動脈領域の半分以上に及んでいた。

 ヘルメット型器具(頭部と首)と冷却剤を循環させる装置には、Mac-Eight社のMC-3000を利用した。

 冷却装置は、発作後の6時間 (中央値) で取付けた。ヘルメット温度は、96時間 (中央値) 5度に維持し、その後48時間 (中央値) は元に戻した。

 急性期 (中央値6日) に確認された最大浮腫量(MEV) と慢性期(中央値33日)における梗塞量 (FIV) は、 それぞれCTで測定した。

 治療群とコントロール群で、脳の膨張指数 ( MEV/FIV−1) を比較し、治療効果を評価した。コントロール群は、年齢で調整した同様の大きな虚血性脳卒中患者14人。

 その結果、MEVは、コントロール群 (175±52cm3) に対し低体温療法群 (155±76cm3)で、治療群の方が比較的小さかった。一方、 FIVは、低体温療法群(122±63cm3) とコントロール群 (122±37cm3) で同程度だった。脳の膨張指数は、コントロール群(0.44±0.17) に対し、低体温療法群は (0.30±0.27) と有意に小さかった(p=0.035)。

 冷却方法は、全身を冷やす方が効果的とされる。しかし、脳だけでなく体全体を冷やす方法は、全身麻酔が前提で呼吸や血圧の管理も必要なため集中治療室(ICU)が必須となる。その点、局所的表面冷却法は、全身麻酔を必要としないので、一般病院への普及も期待できよう。(三和護、医療局編集委員)

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