2005.02.03

【国際脳卒中会議2005速報】 解き明かされる、メタボリックシンドロームと脳卒中の「危険な関係」

 2月2日、今回の会議の目玉の一つであるシンポジウム「Metabolic Syndrome: A New Risk Factor for Stroke?」が開催され、メタボリックシンドロームと脳卒中の「危険な関係」が解き明かされた。

 2人目に登壇したコロンビア大学のBernadette Boden-Albala氏(写真)は、自らが指揮するNorthern Manhattan Studyの成果を披露。「メタボリックシンドロームは、心疾患のみならず、脳卒中においても危険因子である」と強調した。特に重要な危険因子として、「女性」と「ラテン・アメリカ系」が浮かび上がってきたことにも触れ、こうしたハイリスク集団に焦点を絞った対策が急がれると主張した。

 「私はここで、心臓血管病と脳卒中のリスクとメタボリックシンドロームの関係について、疫学的なエビデンスを提供したい」。

 こう切り出したBoden-Albala氏はまず、米国全国健康・栄養調査(NHANES;National Health and Nutrition Examination Survey)から、1988-1994に行われた調査結果と1999-2000年の調査結果を紹介した。13-19歳、20−39歳、40−59歳、60歳以上の各年齢層別にメタボリックシンドロームの割合をみると、1988-1994調査と1999-2000年調査とも、年齢が高くなるほどその割合も高くなっていた。60歳以上では、両調査とも40%を超えていた(40-59が30-35%、20-39が15%前後、13-19が5%強)。

 2つの調査間で比較すると、40〜59歳までと13〜19歳までの年齢層で、メタボリックシンドロームの割合が上昇傾向にあった。メタボリックシンドロームというと、「中高年が罹りやすい病気」をイメージしがちだが、「13〜19歳までの年齢層でも増えていることは留意すべき点」(Boden-Albala氏)だ。

 そもそもメタボリックシンドロームは、肥満や高血圧、糖尿病や脂質代謝異常、高脂血症など、中高年が罹りやすい生活習慣病がいくつか重積した結果、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが高まった病態を指す。

 このうち、最終的なイベントとして心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが高まることは、最近の知見で明らかになってきたことだ。心臓の方で言われ出してから脳卒中が追いかける展開だったが、「脳卒中においても危険因子」を明らかにした研究の一つがBoden-Albala氏が中心となって進めているNorthern Manhattan Study(注)だった。

 最大の成果の一つは、メタボリックシンドロームが脳卒中のリスクを増大させるという知見だろう(オッズ比2.16、95%信頼区間、1.48-3.16)。

 そればかりではない。男女別の解析では、「女性」がハイリスクであることも分かった。また、ラテン・アメリカ系住民がハイリスクであることも浮かび上がった。

 今回の会議では、Northern Manhattan Studyをもとにした研究成果の発表が少なくなかった。対象の半数がラテン・アメリカ系という制約もあるが、今後もBoden-Albala氏らの新たな知見に驚かされるに違いない。(三和護、医療局編集委員)

(注)Northern Manhattan Study
 このコホート研究は、1993年から登録が始まった55歳以上の地域住民を対象とした前向きの研究で、2001年までに3298人の登録があった(脳卒中の既往例は除く)。平均年齢は69±10歳。女性の比率が63%と高く、また、白人21%、黒人25%、ラテン・アメリカ系54%という割合になっている。教育面では、54%はハイスクールを卒業していなかった。1997年からは毎年フォローアップスタディが進んでいる。

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