2005.02.02

脳卒中発症リスクに及ぼす肥満の悪影響、白人女性にのみ観察される

 白人の女性と男性、黒人の女性と男性の4グループを対象に比較検討した調査で、白人女性にだけ脳卒中発症リスクに及ぼす肥満の悪影響が観察された。South Carolina大学のJill E Abell氏らが2月2日、ポスターセッションで発表した。

 米国では、性別、年齢別、人種別に関わらず、すべての人口区分で、肥満である人の割合が高まっている。しかし、脳卒中リスクとの関係では、人種、性、年齢の違いでそのリスクが異なるのかもしれなかった。

 Abell氏らは、こうした人種、性、年齢別に、脳卒中発症リスクに及ぼす肥満の悪影響を調べるため、8920人の黒人女性、7175人の黒人男性、2万7606人の白人女性、及び3万7413人の白人男性を対象に調査を行った。対象は、National Heart, Lung, and Blood Instituteのもとで進められている臨床研究「Black Pooling Project」をベースにしている。これまでに8万1000人以上の登録がある。

 解析では、BMI>25kg/m2を肥満群とし、18.5から24.9kg/m2を標準体重群とした。また、年齢特異的な粗死亡率(人口1万人当たり)を計算することで、肥満と脳卒中死亡率の関係を明らかにすることを試みた。年齢は45歳未満、45歳から54歳、55歳から64歳、65歳から74歳、75歳以上の区分とした。

 その結果、肥満であった人の割合は、女性の場合、すべての年齢層で、黒人の方が白人より多かった(黒人女性/白人女性;66.9/37.2、79.7/51.3、79.8/57.0、73.1/57.8、70.1/48.5、年齢層別に若い層から表示、%)。一方、男性の場合は、75歳以上を除くすべての年齢層で、白人の方が黒人よりも多かった(黒人男性/白人男性;65.5/70.2、68.7/74.3、62.8/69.9、57.7/61.3、54.3/53.8、年齢層別に若い層から表示、%)。また、脳卒中による死亡率は、全年齢層で男女ともに、黒人の方が大きかった。

 肥満と標準体重のグループ間で比較すると、黒人の男女あるいは白人の男性では全年齢層で、標準体重の方が脳卒中による死亡率(人口1万人当たり粗死亡率)が高い傾向にあった。しかし、白人女性では、肥満の方が全年齢層で高かった(肥満群/標準体重群;2.2/0.8、6.4/5.1、17.9/13.2、43.7/41.1、71.3/58.1、年齢層別に若い層から表示)。

 これらの結果から演者らは、「肥満が脳卒中による死亡のリスクを増大させるのは、白人女性で明白だった。ただし、黒人の男女、白人の男性では、明白ではなかった」と締めくくった。(三和護、医療局編集委員)

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