2004.12.28

【2004年医療界回顧その2】2005年も注目のPET事業、試される医療機関の経営力

 2004年の医療界にブームを巻き起こしたものと言えば、PET(陽電子放射断層撮影装置)の導入だろう。2003年初めに60施設弱だった導入施設は、2004年末までに3割増しの80施設近くになった。2005年も十数施設が導入予定だとされている。初期投資が10億円以上かかる大型設備投資であることを考えれば、短期間に大きく増えたと言っていいだろう。

 PETは、フッ素の放射性同位元素を含むブドウ糖(18FDG)などを人体に注射し、その集積状態によって癌などの有無を調べる医療機器。2005年春からは、外部から購入した18FDGによる検査も認められる見通しだ。CTと融合した画像が得られ、より診断精度の高いPET−CTも相次ぎ発売されることになるだろう。セコムがPET事業への進出準備を進めていることもあり、2005年もPETを取り巻く話題には事欠かない。

 ところで、PET事業の特色の一つは、医療関係のみならず、異業種の企業が関与するケースが多いことだろう。企業が開設主体の医療法人に直接関わる場合もあるようだし、資金の工面や建物・機器の調達にからむ例もある。医療機関と企業の連携が本格化する幕開けがPET事業ということになるのかもしれない。

 企業との関係で言えば、PET事業は、構造改革特区で例外的に医療への株式会社の参入が認められている分野だ。にもかかわらず、結局、特区の申請は1件もなかった。当分、企業が正面からPET事業に取り組むことはできそうにない。

 この点に関して、以前から疑問に思っていたことがある。「自由診療」とともに株式会社の参入の条件である「高度な医療」としては、5分野で具体例が挙げられている。それらのうち、「遺伝子治療」や「美容外科治療」があいまいな文言にとどまっているのに対し、画像診断だけ「PET」という具体的な医療機器が書かれている点だ。

 最近、PETの取材で会った複数の関係者が、ある示唆を与えてくれた。PET機器の認可や保険への収載などに関して、「外圧」があったというものだ。7500点という保険点数の設定が、関係者の期待よりかなり低かったことを、外圧に対する厚生労働省の「抵抗」と見る人もいた。もちろん真偽のほどは不明だが、株式会社の参入問題でも外圧があったと考えれば、先の疑問にも答えが出そうだ。

 外圧の背後には、日本進出を狙う外国企業の意思も働いていると見られる。これに対し、構造改革特区の申請が出なかったことで、株式会社の医療参入の要件が緩和される可能性が出てきている。要件緩和が実現すれば、PET事業は外国企業にとって日本の医療市場進出の突破口になるかもしれない。 

 外国企業の進出が現実のものとなれば、保険診療の枠組みによって守られてきた日本の医療機関は太刀打ちできないだろう。事態がそうした方向へ動く可能性があることを視野に入れ、自由診療であるPETがん検診への取り組みなどを通じて、価格設定やマーケティングといった企業経営の根幹をなすノウハウを今のうちに学んでおく必要があるのではないだろうか。(井上俊明、医療局編集委員)

■ 参考トピックス ■
◆ 2004.12.20 解説】2004年医療界回顧(その1) 混合診療問題乗り切った植松執行部、2005年は真価試される年に

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