2004.12.27

クロミフェンの胎内暴露は尿道下裂のリスクにならない、ケース・コントロール研究から

 クロミフェンは、日本でも排卵誘発剤の第一選択薬として用いられている。が、この薬剤が、合成卵胞ホルモン剤であるジエチルスチルベストロール(DES)の派生物で、構造が類似していることから、副作用に対する懸念は一部に根強い。今回、デンマークの研究者らは、クロミフェンの胎内暴露が男児の尿道下裂リスクを高めるかどうかを調べるケースコントロール研究を行い、胸をなで下ろす結果を得たとBritish Medical Journal誌電子版に、12月21日に報告した。

 「DESの悲劇」の被害者は、流産予防のためにこれを投与された母親から生まれた女児たちだった。DESの体内被曝は、思春期を迎えた女児の膣および子宮頚部に明細胞腺ガンを生じさせた。男児への影響は女児ほど深刻ではなかったが、精巣ガン、尿生殖器奇形などの報告がある。特に近年、DES暴露男児で尿道下裂のリスク上昇が報告されていることに研究者らは注目した。クロミフェンの半減期は約5日だが、便からは投与後6週間経っても検出される。従って、尿道下裂の発生率が高まる可能性はあると考えたのだ。

 研究者たちは、デンマークの一部地域で1989年から2002年までに生まれた男児6万5383人の中から、尿道下裂患者で、母親に処方された薬剤の記録が完全に残っている319人を選び出した。対照群として尿道下裂ではない、処方記録のある男児を選んだ。分析の結果、クロミフェンに関連する尿道下裂の調整後オッズ比は0.48となった。クロミフェンの使用時期および期間を制限してもこのリスクに差はなかった。

 薬剤の副作用については、このところ国内外で問題が続出している。対策の一つとして市販後調査の徹底は重要だが、DESのようにその実態が明らかになるまで10年以上かかる薬剤の場合、悲劇を生みやすい。体内暴露が問題になる可能性がある薬剤の場合、投与の有無を子供の健康情報の中に記録する必要があるのではないか。原題は「Use of clomifene during early pregnancy and risk of hypospadias:population based case-control study」、全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。
(大西淳子、医学ジャーナリスト)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 神になりたかった男 徳田虎雄 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:162
  2. 医師の時短に向け直ちに実施すべき事項を明示 「医師の働き方改革に関する検討会」が緊急取り組み案と中間論点整理 FBシェア数:147
  3. 7対1と10対1を「急性期一般入院料」に再編 シリーズ◎2018診療・介護報酬同時改定 FBシェア数:25
  4. 「20年目に給与1500万円」が目安? Cadetto Special●医者の値段 2017 FBシェア数:1
  5. 2040年、医療機関と医師の動きはこう変わる 特集◎「2040年問題」で日本の医療はここまで変わる《5》 FBシェア数:111
  6. 胸背部痛、呼吸苦で救急を受診した60歳代女性 カンファで学ぶ臨床推論 FBシェア数:0
  7. 「ビットコイン」の技術は医療にも トレンド◎ブロックチェーンを電子カルテなどの情報基盤に活用 FBシェア数:40
  8. 胸部や腹部のCT検査が腎切除術を増やす JAMA Intern Med誌から FBシェア数:41
  9. 穏やかな在宅死を望んでいたのに警察沙汰に 医師が知らない介護の話 FBシェア数:27
  10. 「女性医師余り」は進んでいく Cadetto Special●女性医師の婚活事情 FBシェア数:85
医師と医学研究者におすすめの英文校正