2004.12.20

インスリン抵抗性とうつ病にも正の相関

 糖尿病と鬱には正の相関が見出されている。臨床的に明白な糖尿病患者は2、3割がうつ病を併発するとも言われる。が、糖尿病の前段階となるインスリン抵抗性を示す患者(耐糖能異常者)とうつの関係はあまり調べられておらず、信頼度の高い研究結果はまだない。そこでフィンランドの研究者らは、クロスセクション試験を行い、その詳細をBritish Medical Journal誌電子版で12月16日に報告した。

 研究者らは、血糖値の調節機能の異常が、うつ病における生理的な変化と関連しているなら、インスリン抵抗性は、うつ症状と正の相関を示すはずだと仮定した。さらに、糖代謝の異常の度合いに応じてうつ症状の程度にも差があるかどうかを調べることにした。

 1935年生まれでフィンランドOulu在住の1008人全員に試験への参加を募り、既に糖尿病と診断されていた人などを除く491人を追跡調査した。それぞれ指標を用いて、インスリン抵抗性とうつ症状の程度(自己申告式(Beckの鬱評価尺度)による)を調べた。スコアには負の相関が見られた。相関が最も顕著だったのは耐糖能異常者で、健常人との間の差は有意だった。また、耐糖能異常者におけるインスリン抵抗性の程度とうつ症状の深刻度に相関が見られた。

 従って、やはりインスリン抵抗性とうつの背後には、共通する病態生理学的変化があると考えられる。耐糖能異常者には、血糖値の管理とうつの管理の両方を目的とする指導および観察を行うことで、臨床的な糖尿病の発症を抑えられる可能性があるだろう。

 論文の原題は「Insulin resistance and depression: cross sectional study」、全文がこちらで閲覧できる。 
(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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