2004.12.16

HIV感染者の歯科診療でユニバーサルプレコーションが浸透

 HIV感染者の歯科診療において、感染予防策の基本であるユニバーサルプレコーションが浸透していることが明らかになった。感染の有無に限らず、すべての患者の血液、体液、排泄物を感染の疑いのあるものとして取り扱うもので、患者に一定の医療を提供するだけでなく、まだ同定されていない未知の疾患から医療従事者を保護することを目的としている。日本エイズ学会で12月9日、刈谷総合病院歯科口腔外科の宇佐美雄司氏が発表した。

 宇佐美氏らは愛知県内にある病院の歯科、歯科口腔外科を対象に、無記名アンケート調査を実施。対象とした48施設のうち40施設から回答を得た(回答率83.3%)。

 調査では、病院の概要、歯科医療施設の概要、感染防御の実践状況、HIV感染者の歯科診療の状況などを尋ねた。

 その結果、回答した全施設で診療時に手袋が使用され、80%以上の施設で常時使用し患者ごとに交換していた。HBワクチンの接種も95%(38施設)が接種済みと回答した。

 宇佐美氏らは1993年にも、今回と同様の調査を実施している(対象72施設、回答48施設)。当時の「診療時の手袋使用」は70%で、この10年で10ポイントの増加となった。またHBワクチンの接種率も、75.4%から95%への急増した。

 HIV感染者の歯科治療の対応では、21施設(52.5%)が「他の患者と同等に行う」と回答。これらの結果から宇佐美氏は、「ユニバーサルプレコーションの概念が浸透し、感染防御の面でHIV感染者の歯科治療自体が特別なことではないと認識されるようになった結果」と考察していた。

 なお、過去5年間に歯科治療したHIV感染者数を尋ねた質問では、15施設(37.5%)が「1〜5人」と回答。「11人以上」が1施設あったが、17施設が「0人」、7施設が「不明」で、大部分の施設が5人以下と少数だった。

 課題も浮かび上がった。その一つは、歯を削る際に使うタービンハンドピース。「患者ごとに交換」が14施設(35%)だったのに対し、「観血的処置時交換」は20施設(50%)で、交換頻度が十分とは言えない状態だった。

 また、半数の施設で歯科医師数より衛生士の数が少なく、歯科治療時の介助における適切な人員という面では不安な面も浮き彫りになった。(三和護)

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