2004.12.13

ドイツで医療保険会社自身が遺伝検査を顧客に提供

 British Medical Journal誌12月11日号のNew roundupによると、ドイツの医療保険会社Kaufmaenische Krankenkasse社(KKH社)が、契約者全員の中から希望者に、遺伝性の鉄代謝異常であるヘモクロマトーシスの発症前検査を提供した。常染色体劣性遺伝病であるこの病気の素因を持つ人が、治療をより早く開始できるようにすることが目的だ。検査を受けた約4000人のうち、67人がハイリスクと診断された。

 200万人の顧客を持つKKHは、Hanover大学医学部の協力を得て検査を実施した。遺伝性ヘモクロマトーシスの病原遺伝子(HLA-H)は第6染色体短椀上にあり、単一の点突然変異がこの病気を引き起こす。患者の消化管からは鉄の過剰な吸収が起こり、肝臓その他の臓器に障害をもたらす。進行すれば臓器不全に至る。症状が現れるのは多くの場合、40歳を過ぎてからだ。治療の中心は定期的な瀉血となる。

 記者会見で同社は「この病気は進行した段階で見つかることが多い。早期に発見されれば、透析や、肝腎移植などは避けられる。進行患者1人の治療費は約10万ユーロだが、遺伝検査の費用は1人当たり14ユーロだ。また、喜んで検査を受けた人が多く、さらに、検査時に行われた調査では90%が、参加者に利益があるなら医療保険プログラムの一環として遺伝検査が実施されることに賛成、と回答した」と説明した。

 が今回、遺伝検査の欠点も浮き彫りになった。実際にはドイツ国民の約10%はヘモクロマトーシス遺伝子の健康なキャリアだ。今回検査を受けた人の中にも、疾病遺伝子のヘテロ接合体を持つと診断された人が約500人いたが、多くは検査を受けたことを後悔したという。さらに、ホモ接合体でも必ず発症するわけではない。

 現在ドイツ政府は、遺伝検査に関する規制を盛り込んだ法案の作成を進めている。そこには、消費者は契約している保険の補償金額が25万ユーロ以下であれば、検査結果を生命保険会社に報告する必要はなく、雇用者にも通知しなくて良い、遺伝検査を受けた人全員へのカウンセリングの提供を義務づける、等の内容が含まれる予定だ。

 議会通過は2006年と予想されている。実際のところ、同国の生命保険会社は、遺伝検査の実施を2011年まで行わないことで合意している。

 原題は「Health insurance company offers genetic screening to itsclients」、全文がこちらで閲覧できる。
(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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