2004.12.13

【投稿】名義借りの問題は根が深いものです

 「投稿】大学病院内での名義貸しは存続し続けていた」への投稿です。「名義借りの問題は根が深いものです」という趣旨の投稿です。その原因への言及は、問題解決には必至かと思います。以下にご紹介します。

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 名義借りをしていた病院は、北海道では200床以上の比較的大きな病院が多かったようですが、全国的傾向としては、100床前後の小規模病院が主です。これは現在の医療法に原因があります。

 昭和23年に作られた医療法では、19床を境として、病院と診療所に区別されます。そして、医師の定員に関しても、20床であれ、500床であれ、同じ計算式が適用されます。外来患者についても、入院患者についてもその重症度は問われず、外来患者数40名に一人の医師が必要とされます。

 入院患者については、一般病床については16名に1名が必要とされます。6年前から、療養型病床といって、慢性で比較的手のかからない患者については48名に1人の医師でよいと緩和はされましたが、一般病床の患者については重症度は勘案されていません。ですから小規模病院では、例えば冬にインフルエンザが流行して外来患者が一時的に増加した場合、必要医師数が一挙に増加することがあります。

 これが医師の定員が40〜50名くらいの大きな病院であればあまり問題となりませんが、定員が3〜5名くらいの小さな病院の場合、1人の増加が非常にこたえるわけです。そして、年に1回の病院検査では、100%の定員が確保されていなければ、「標準人員は科学的かつ適正な医療を行うために必要な最低の人員であるから・・・」といわれ、改善計画を提出させられます。

 慢性であまり状態の変化が急でない外来患者を診ていても、紹介が多く重症度が高く、診察に時間がかかる患者を診ることの多い大病院でも、同じく外来患者40人に1人の医師が必要であると、機械的に決めている医療法自体がおかしいのです。このことは厚労省の局長自身が2代続けて公的な場で発言しているのですが、現実には何ら改善されていません。

 また、病床数が20〜100前後の病院には余程の専門性がない限り、常勤の若い医師はきてくれません。従って、週2日でも3日でも非常勤できてくれる大学の若い医師を、少し給料を出して、常勤扱いにしたい衝動が生まれるわけです。また医学部を卒業して、しばらくして大学の研究室に帰った若い医師は、大学から給料が出るわけでもなく、何らかの形でアルバイトをしなければ食ってゆけないのも昔と全く変わらない現実です。アルバイトでは健康保険もありません。彼らの立場からも、実態は非常勤でも常勤扱いで給料も少し高くくれて、健康保険にも入れるということは非常な魅力なわけなのです。

 ここに名義借りの起こり易い現実があります。

 もう一つの現実は、介護保険がらみの問題です。介護保険が導入される前から、多くの小規模病院は、介護型療養病床を作るため、資金をつぎ込んで病棟を改築しました。患者1人当たりの床面積や、廊下はばや、食堂の有無によって、診療報酬が違うシステムだからです。
 ある条件を満たせば、「療養環境加算」として高い点数がとれます。ところがハード面に加算されるべき「療養環境加算」が医師の定員が100%でなければとれないのです。医師の定員というフト面も100%満たしていなければとれないのです。ここにも、名義借りをしたくなる理由があります。

 わが国の病院はOECD先進諸国の中でも、極めて医療密度が低い状況です。患者100人当たりの、医師、看護師、事務職員すべてが少ないのが現状です。しかし、今の医療費ではとうてい欧米並みの人員をそろえることは出来ません。名義借りの問題は根が深いものです。

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