2004.12.10

予防接種の非特異的効果、途上国の子供の死亡率低下に貢献か

 予防接種に非特異的効果があるかどうかに関する議論は、15年にも渡って続いている。今回、フランスとブルキナファソ(アフリカ西部の内陸国)の研究者らが、乳幼児死亡率が高い発展途上国の2歳未満の小児の死亡率に注目してワクチン(BCGとDTP)の効果を調べ、有意な生存率向上効果を示した。詳細はBritish MedicalJournal誌12月4日号に報告された。

 ワクチンが、標的とする疾患以外の病気に対する予防効果を与える、例えば、BCGがハンセン病を予防するといったような、非特異的効果の報告は複数ある。しかし、作用機序は明らかではない。一方、ギニアービサウにおける研究では、DTP(ジフテリア、破傷風、百日咳の三種混合ワクチン)の接種を1回受けた子供の死亡率が未接種の子供より高かった、との報告が2000年になされた。WHOは独自にデータを検証、納得できないと述べている。

 やはりこの結果に疑問を抱いた研究者らは今回、ブルキナファソの農村部で生まれた9085人を対象に、前向きコホート研究を行った。

 BCG、DTPの接種はWHOの勧告通り行われた。子供たちは、BCGのみ、DDPのみ、これら両方を接種した集団と、予防接種を全く受けていない集団に分けられた。分析の結果、予防接種を受けた子供の2歳未満の死亡率は、そうでない子供に比べ有意に低かった。BCGのみの接種でリスク比は0.37、DTPのみの接種ではリスク比0.24となった。

 死亡率に現れた差は明白で、ワクチンの標的疾患予防効果だけでは説明できない。従って、接種の非特異的効果が生存率向上をもたらしたと考えられた。

 論文の原題は「Non-specific effects of vaccination on child survival:prospective cohort study in Burkina Faso」、全文がhttp://bmj.bmjjournals.com/cgi/reprint/329/7478/1309(PDFファイル)で閲覧できる。

 これに対し、同じ号の論説でPaul E M Fine氏は、研究方法の問題点を指摘している。例えば、ワクチン接種率が低い、接種歴が明確でないために対象者の分類が不正確、対象者の均一性が低く生存率向上につながる背景が調節されていない(予防接種を受ける家族は社会経済的に恵まれていることが多い)などだ。うち、いくつかについては筆者達も自覚している。Fine氏は、ワクチンの非特異的な利益や害を証明するためには、長期に渡る比較対照試験などが必要で、非常に困難だと述べている。論説の原題は「Non-specific"non-effects" of vaccination」、閲覧はこちら(PDFファイル)で。
(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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