2004.12.07

癌生存率開示ガイドライン 癌病院の成績を“生存率係数”で比較

 全がん協が癌生存率を開示する際の指針をまとめた。同一尺度で成績を開示し、利用者が施設を比較できるようにするのが狙い。全がん協やがん拠点病院がこれに基づく公表を率先するか、注目される。

 癌診療格差の実態への関心の高まりを受け、自院のホームページで癌の5年生存率などを開示する施設が増えている。しかし、その数が少ないのみならず、開示の際の計算・表記方法が統一されていないため、施設間の生存率比較ができないことが問題となっている。

 症例数や消息判明率、癌の対象範囲も明記されていない場合が多く、「計算法によって有利、不利が出る」「実際より高く見せかけることも可能」との批判が多く出ていた。

“品質”を表示し精度も保証

 こうした声に応えるべく、全国がん(成人病)センター協議会(以下、全がん協)が、「全がん協加盟施設における がん患者生存率公表にあたっての指針」を総会で承認した。

 これは、厚生労働省がん研究助成金による「地域がん専門診療施設におけるソフト面の整備拡充に関する研究班」(班長:猿木信裕・群馬県立がんセンター手術部長)が、公平な開示を促すために策定したガイドライン。

 指針をとりまとめた猿木氏は、「すでにそれぞれの定義で成績を開示している施設も、改めてこの指針に合わせてほしい。利用者が混乱なく施設を比較できるようになる。また、全がん協平均を尺度として比べることで、治療成績の均てん化を誘導することもできる」と、その意図を語る。均てん化とは、全国で質の高い医療を実現することにほかならない。

 指針の主な内容は、(1)データの“品質表示”の考えを導入し、14項目の内容表示を推奨すると同時に、全がん協全国調査の開示方法に合わせることを奨励する、(2)全がん協全国調査結果を尺度に病期調整生存率、年齢調整生存率を計算し開示することを推奨する、(3)精度を保証するため、消息判明率95%以上、病期判明率80%以上を目標とし、消息判明率90%未満、病期判明率60%未満は開示しない――など。

 品質表示の14項目とは、信頼性(院内がん登録データかどうか)、対象範囲(例:初回入院)、対象期間、対象部位(例:上内皮癌除外)、病期分類法(例:臨床病期)、病期判明率、手術割合、検診由来割合、消息判明率、算定方法(例:カプラン・マイヤー法)など。

 病期調整生存率の算出の鍵となるのが、各施設の「生存率係数」だ。まず、全がん協の病期別期待生存率と各施設の病期別症例数から、病期別期待生存数を出す。その和を合計期待生存数とし、実測生存数を合計期待生存数で割った値が生存率係数である。

 例えばA病院の胃癌の実測生存数が194人で、期待生存数が203.52人とすれば、「生存率係数」は、194÷203.52で0.953。A病院の成績表示は次のように行われる。

・基準生存率(全がん協合計)

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