2004.12.06

喫煙は認知能低下のリスク因子

 英国の研究者らが、喫煙は、認知能低下を予防しないどころか、実はリスク因子であることを示したという。British Medical Journal(BMJ)誌12月4日号のNews roundupに掲載されたこの記事は、Addictive Behaviors誌の最新号(30巻、77-88ページ、2005年)の「Childhood IQ, smoking and cognitive change from age 11 to 64 years」と題された論文を紹介している。

 喫煙は、覚醒水準、注意力、記憶力を高め、痴呆のリスクを下げると主張する人がいる。そこで研究者たちは、喫煙が認知能低下のリスク因子か否かを調べた。興味の中心は、喫煙の利益がIQに現れるかどうかにあった。

 対象となったのは、1936年生まれで、1947年に同じIQ検査を受けた約500人の男女だ。被験者たちは64歳前後で、5種類の認知能検査を受けた。交絡因子候補として、11歳時のIQ、職業の種類、教育レベル、心疾患と高血圧の有無、肺機能が調べられた。重回帰分析の結果は、11歳時のIQ、教育レベル、職業、肺機能、喫煙が、64歳時の精神機能の独立した予測変数であることを示した。64歳の喫煙者と非喫煙者(禁煙者を含む)の間には、5種類の認知能検査の結果を総合したスコアに有意な差があった。認識能検査の中で、言葉の記憶には喫煙の影響は現れず、Degit Symbolテストで示される神経運動速度(情報処理速度)は喫煙により有意に減少していた。11歳時のIQ差を調整した後の、64歳時の認知能の差に対する寄与率は、教育と職業が約5.7%、喫煙と肺機能の低下の組合わせが4%弱となった。

 著者らは「長期的喫煙が、認知能力に長期に渡る利益を与えることはないと結論付けた。反対に、喫煙は11歳から64歳までの間の認知能低下のリスク因子だった。その程度は個々人レベルでは相対的に小さいが、集団レベルでは重要だ。生き方の選択を正しく行えば、認知機能の維持や増強を図れるからだ」と述べている。

 BMJ誌の記事の原題は「Long term smoking contributes to cognitive decline」、全文がこちらで閲覧できる。 
(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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