2004.12.01

トマトのリコピン、再発した前立腺癌の進行を抑制−−米専門医が臨床データを公表

 トマトの赤い色素成分リコピンに、手術や放射線治療では著効がみられなかった再発した前立腺癌の進行を抑える作用があるようだ。米デトロイトのカルマノス・ガン研究所内科・腫瘍学科のオマール・クチューク教授が11月26日、都内で開催されたセミナー「リコピンと21世紀の健康」(主催:イスラエルのライコレッド社)で、研究結果を初公表した。

 前立腺癌の再発患者70人を2群に分け、一方(37人)に1日にリコピン15mgを主成分とするサプリメントを、もう一方(33人)は同じリコピン15mgを含むサプリメントと大豆イソフラボン40mgを6カ月間投与した。

 リコピン主体のサプリメントをのんだ群は、前立腺癌の指標となるPSA(前立腺特異抗原)値の上昇が有意(P=0.003)に抑えられていた。大豆イソフラボン併用群でもPSA値の上昇抑制傾向が見られたが、有意ではなかった(P=0.25)。

 70人のうち、内分泌療法が無効となったホルモン耐性前立腺癌の25人で結果を分析しても結果は同様だった。リコピンを主体にしたサプリメント投与群は、PSA値の上昇を有意に抑えた(P=0.025)。

 「内分泌療法が使えない患者にもリコピンはプラスに働く」(クチューク教授)ようだ。詳しい研究結果は、12月中にも論文誌に投稿予定という。

 クチューク教授は従来からリコピンの癌抑制・予防効果の臨床試験を進めていて、すでに初期の前立腺ガン患者26人を対象にした臨床研究結果を発表している。

 1日30mgのリコピンを3週間投与した群(15人)とプラセボ投与群(11人)を比較すると、リコピン群では、病理学的にみて有意に癌の進行が抑えられていた。

 さらに、プラセボ群では全例で癌の前駆状態である上皮内腫瘍(PIN)が広がっていたが、リコピン群では15人中5人で腫瘍の広がりが抑えられた。

 なおこれらの研究に用いたのは、ライコレッド社のサプリメント「Lyc-O-Mato(ライコマート)」。リコピンのほか、ベータカロチンなどのカロチノイド類を複合的に含む。

 トマトの赤い色素成分リコピンは、様々な癌の予防効果が知られている。最も良く効くとされるのが、前立腺や肺の癌。ほかにも胃やすい臓、大腸などの消化器、子宮、膀胱(ぼうこう)、口腔の癌予防効果についても報告がある。

 癌予防のためにリコピンをとるとすると、「1日に5〜10mgとるといい」とクチューク教授。ただし、「生のトマトに含まれる状態では吸収率がよくない。加熱すると吸収率が高まる。トマトピューレなら1日40g程度とればいい」と話す。

 カゴメ総合研究所の研究でも、リコピンの吸収率は、加熱したトマトは生の1.3倍、オリーブオイルと一緒に過熱すれば、生の4倍というデータがある。

 クチューク教授は、うずらを用いた動物実験の結果から、リコピンには子宮筋腫の予防効果も期待できると見ており、デトロイトで近々、臨床試験を開始する予定という。(小山千穂、日経ヘルス

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