2004.11.29

未熟児へのイブプロフェンの予防的投与(1)---インドメタシンより利益は少ない

 ベルギーの研究者らは、未熟児の動脈管開存症(PDA)の予防におけるイブプロフェンの効果を調べる無作為割付二重盲検試験を行い、詳細をLancet11月27日号に発表した。

 妊娠28週未満で生まれた、または出生体重が1750g以下の未熟児の2/3以上に動脈管開存症(PDA)が見られる。治療としては、インドメタシン(サイクロ・オキシゲナーゼ阻害剤)を中心とする薬物療法または外科的処置が行われる。近年、インドメタシンの早期投与はPDAと重症脳室内出血の発生率を下げるという報告に基づき、予防的使用も増えている。

 また、別のサイクロ・オキシゲナーゼ阻害剤であるイブプロフェンの方が副作用が少ないとの報告があり、こちらも予防的および治療的に使用され始めた。しかし、局所循環への影響はインドメタシンと異なるうえ、重症脳室内出血に対する効果は明らかではなかった。

 今回対象となったのは妊娠24-30週で生まれた415人の低体重児で、出生後6時間以内にイブプロフェン-リジンまたは偽薬の1回目の投与が行われた。

 主要エンドポイントは重症脳室内出血の発生率に、二次エンドポイントはPDA発生率と副作用に置かれた。重症脳室内出血は、イブプロフェン投与群205人中17人(8%)、偽薬投与群210人中18人(9%)に起きた(有意差無し)。生後3日目に動脈管が閉じていた患者の割合は、イブプロフェン群で84%、偽薬群で60%と有意な差があった。イブプロフェン群では生後1日で尿産生が有意に減少、3日目には血清クレアチニン濃度が有意に上昇した。が、3日目の尿量は正常に戻っていたため、これは一過性の現象と考えられた。腎不全を起こした患者はいなかった。それ以外には副作用として重要な差は認められなかった。

 これまで、イブプロフェンはインドメタシンに比べ副作用が少なく、超未熟児への予防的な投与はPDAと脳室内出血を減らすと見られていた。だが、今回、脳室内出血については偽薬との間に差は見られなかった。また、イブプロフェンはビリルビン脳症の発症率を高めるリスクがあるとされており、詳しく調べる必要がある。同時に、長期的影響の確認も必要だ。

 原題は「Prophylactic ibuprofen in premature infants: a multicentre,randomised, double-blind, placebo-controlled trial」、概要はこちらで閲覧できる(Lancet誌のサイトへの登録が必要です)。 
(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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