2004.11.24

免疫力弱い方が長生き? 百寿者に免疫応答弱い遺伝子変異が多く存在

 衛生状態が良く、抗生物質によって感染症の脅威から守られている現代社会では、免疫力の強さが長生きにむしろ不利に働く場合があるようだ。イタリアの住民を対象とした観察研究で、100歳前後の健康な超長寿者では対照群に比べ、免疫応答が弱い遺伝子変異を持つ人が有意に多いことが分かった。イタリアのPalermo大学免疫老化学教室のCarmela Rita Balistreri氏らの研究研究成果で、米国医師会誌のJournal of American Medical Association(JAMA)誌2004年11月17日号にリサーチレターとして掲載された。

 研究グループは、グラム陰性菌のリポ多糖や組織損傷などの内部要因によって活性化するToll様受容体TLR4の一塩基多型(SNP)であるAsp299Glyに注目した。これはDNAの896番目がアデニンからグアニンになった多型で、TLR4の299番目のアミノ酸がアスパラギン酸からグリシンに置き換わり、レセプターのシグナル伝達を減弱する。比較的ありふれた多型だが、炎症反応を弱めるため、全身性の感染リスクが増大する一方、アテローム性動脈硬化症のリスクが顕著に減ることが知られている。

 Balistreri氏らは、急性心筋梗塞で入院した平均41歳(20〜46歳)のシシリア在住男性105人を患者群、年齢をマッチさせた健康なシシリア人男性127人を対照群、また、平均年齢100歳(96〜104歳)の健康なシシリア人男性百寿者55人の3群について、遺伝子型とアレル頻度を調べた。

 その結果、急性心筋梗塞患者では、アレルAが97.6%、アレルGが2.4%、対照群ではアレルAが94.1%、アレルGが5.9%だったのに対し、百寿者ではアレルAが85.4%、アレルGが14.6%と、対照群に対して患者群ではAsp299Gly多型が少なく、百寿者では逆に多かった。喫煙、肥満、家族歴など心血管疾患のリスク要因で調整しても、百寿者では、患者群と対照群に対し、Asp299Gly多型が有意に多かった。

 本研究の結果からBalistreri氏らは、感染の機会が少なく、仮に罹患しても抗生物質によって重症化を免れることができる現代の(先進国)社会では、Asp299Gly多型は、むしろ長寿に有利に働くと指摘している。

 本論文の原題は、「Role of Toll-like Receptor 4 in Acute Myocardial Infarction and Longevity」。本論文は要旨を含め、無料の閲覧はできない。(中沢真也)

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