2004.11.22

糖尿病に対する一次医療、貧しい地域や人種が多様な地域では品質低下が起こる、英国調査

 英国では、糖尿病患者を診療する際の国家基準(NSF)と、2004年4月1日に発効した新一般医療サービス規約(GP規約)に、糖尿病患者に対するケアの品質指標が設定されている。今回、それらが英国全土で一様に達成されているかどうかを調べる集団ベースの横断的調査が行われた。焦点は、患者が住む地域の経済的状況と人種の多様性に向けられた。さらに、糖尿病のケアにも、冠動脈疾患の場合と同様に性差が現れるかどうかも評価された。詳細はBritish Medical Journal誌電子版に11月17日に報告された。

 GP規約は、国民保健サービス(NHS)に参加し、プライマリケアに携わる一般家庭医(GP)の職務を規定する。今回の変更の一つは、糖尿病などの慢性疾患に対するケアの質の向上を目的としており、糖尿病患者に対する一次医療の品質基準として18の指標が設定された。そこには、BMI、HbA1c、クレアチニン、コレステロールなどの数値の測定や、網膜、足の動脈の拍動、神経障害、ミクロアルブミン尿の検査などが含まれている。

 研究者らは、英国の237診療所が診療記録を登録しているQRESEARCHデータベースから、16歳以上の糖尿病患者5万4180人のデータを選出、一次医療現場で18の指標がどの程度達成されていたかを調べた。さらに患者の中から、貧しい地域に住む者と裕福な地域に住む者、人種の多様性が高い地域の患者と低い地域の患者を選んで、指標達成度を比較した。男女間の比較も行った。

 全体では、コレステロール値やBMI値の測定率は高く、神経障害の検査の実施率は低い、といった項目間のばらつきが見られた。また、貧しい地域と人種の多様性が高い地域の患者の指標達成率は多くの項目で、逆の環境に住む患者に比べ低かった。女性では、特定の項目の達成率が男性に比べ有意に低いことも明らかになった。

 従って、貧しい人の多い地域、人種の多様性が高い地域では、診療により力を入れる必要があることが示された。が、そうした地域では、必要な資金や人材が不足している可能性も考えられた。

 原題は「Association of deprivation, ethnicity, and sex with quality indicators for diabetes: population based survey of 53 000 patients in primary care」、全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。 (大西淳子、医学ジャーナリスト)

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