2004.11.18

“若返りホルモン”のDHEAにダイエット効果、高齢者の体脂肪を減らす−−米ワシントン大学

 高齢になるほど血中濃度が低下するため、「若返りホルモン」として期待を集めているDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)に、高齢者の腹部肥満を改善する効果があることが分かった。

 米国国立衛生研究所(NIH)の助成金を得て、米国Washington大学が行ったプラセボ対照試験による。研究結果は、米医師会雑誌Journal of the American Medical Association(JAMA)の11月10日号に掲載された。

 試験では、やや太り気味だが健康な高齢の男女56人(平均年齢は71歳、平均体格指数=BMIは28)をくじ引きで2グループに分け、DHEA(1日量50mg)またはプラセボを6カ月間、毎日就寝前に飲んでもらった。

 腹部の肥満度の評価にはMRI(磁気共鳴画像装置)を使用。腹部の輪切り画像を撮り、内臓脂肪と皮下脂肪の面積を測った。

 すると、プラセボをのんだグループでは、6カ月後にも腹部の肥満度はほとんど変わらなかった(内臓脂肪面積:3平方センチ増加、皮下脂肪面積:2平方センチ増加)。

 一方、DHEAをのんだグループでは、内臓脂肪面積と皮下脂肪面積のどちらも、6カ月後には13平方センチ減っていた。

 さらに、経口糖負荷試験(OGTT)で調べたインスリン抵抗性は、DHEAをのんだグループのみが改善。DHEAが腹部の肥満解消だけでなく、糖尿病予防の可能性があることがわかった。

 DHEAは男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン)の前駆体となるホルモンで、20代をピークに徐々に体内での合成量が減る。そのため、これまでは主にアンチエージング(抗老化)成分としての期待が高かったが、DHEAの働きはそれだけではない。

 最近の研究で、DHEAは「PPARα」と呼ばれるホルモン受容体を活性化し、脂肪を燃やす(遊離脂肪酸をβ酸化する)働きがあることがわかってきた。つまり、DHEAが体内で十分に作られない高齢者に、DHEAを補充すれば、糖尿病など腹部肥満による様々な病気を予防できる可能性があるというわけだ。

 ただし、今回の試験は対象人数が比較的少数で、実施期間も6カ月と短い。研究グループは「より大規模な試験で効果や安全性を再確認すべき」と念を押している。

 この論文のタイトルは、「Effect of DHEA on Abdominal Fat and Insulin Action in Elderly Women and Men」。アブストラクトは、こちらまで。
(内山郁子)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. ついに登場!希釈式自己血輸血 リポート◎自己血輸血に3つ目の柱、手術当日でも可能な新手法 FBシェア数:312
  2. どこまで減らせる?アルブミン製剤 リポート◎「アルブミン消費大国」の汚名は返上したが… FBシェア数:22
  3. 高血圧合併例の利尿薬をSGLT2阻害薬に変更 学会トピック◎第60回日本糖尿病学会年次学術集会 FBシェア数:139
  4. 患者応対を改善させる「マジックフレーズ」 榊原陽子のクリニック覆面調査ルポ FBシェア数:2
  5. 患者が増えない… 院長が突き止めた原因とは 診療所経営駆け込み寺 FBシェア数:1
  6. なぜ肺炎ガイドラインに「治療しない」選択肢を盛り… ガイドライン作成委員を務めた大阪大学感染制御学教授の朝野和典氏に聞く FBシェア数:502
  7. 100歳目前の認知症患者に輸血を行うか はちきんナースの「看護のダイヤを探そう!」 FBシェア数:13
  8. 高齢者救急の現場で思う「長生きは幸福か」 木川英の「救急クリニック24時」 FBシェア数:174
  9. いつまでも症状が長引く感染性腸炎の正体 田中由佳里の「ハラワタの診かた」 FBシェア数:161
  10. 医療事故調センター「再発防止策」に厳しい声 記者の眼 FBシェア数:27