2004.11.18

腹部大動脈瘤のスクリーニングで死亡率低下をめざすなら対象制限が必要、集団ベースのRCTから

 豪州の研究者らは、高齢男性を対象に超音波を用いた腹部大動脈瘤の集団検診を行った場合、動脈瘤破裂による死亡率を減らせるかどうかを評価するため、集団ベースの無作為割付比較試験を行った。詳細は、British Medical Journal誌電子版に11月15日に報告された。

 血管手術や集中治療の技術向上にもかかわらず、腹部大動脈瘤破裂の死亡率は今も約80%だ。これまでに、超音波を用いたスクリーニングを受ける資格があると一般開業医に認められた65〜74歳の男性を対象とし、破裂の危険がある場合には治療勧告を行う方法で実施された試験では、スクリーニングは有効で、コスト効果も高いという結果が得られていた。

 今回研究者らは、65〜83歳の男性4万1000人を等分し、超音波検査を1回受ける介入群と受けない対照群に割り付けた。介入群で実際に検査を受けたのは7割だった。

 この割合も集団検診の有効性に大きく関係する。粗有病率は、大動脈の直径が30mm以上が7.2%、55mm以上が0.5%だった。試験結果を通知するのみで治療勧告は行われなかったが、介入群では、対照群の2倍の人が待機手術を受けた(107人と54人)。検査後、平均43カ月の追跡期間中に大動脈瘤破裂が原因で死亡した人は介入群で18人、対照群で25人、死亡率0.61だった。65〜75歳の男性に限定すると死亡率は0.19で、有効性が示された。

 以上の結果は、住民の中の65〜83歳の男性全てを対象とするスクリーニングは有効でないことを示した。この年齢の大動脈瘤破裂による死者は、総死亡者数の1%以下だ。集団検診を行うなら、対象とする年齢を限定(65〜74歳など)し、不適格者(既に検査を受けた、または治療を受けた、別の重い病気にかかっているなど)を除外すれば有効性は高まることが示唆された。

 論文の原題は「Population based randomised controlled trial on impact of screening on mortality from abdominal aortic aneurysm」、全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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