2004.11.16

処方薬の精神医学的副作用は見逃されがち、しかし深刻

 British Medical Journal誌11月13日号のNew roundupによると、英国Londonで11月初旬に行われたAdverse Psychiatric Resctions Information Link(APRIL)主催の会議で、医療従事者や製薬会社、そして国の監督機関は、処方薬の精神医学的副作用に真剣に対処する必要があるとのメッセージが発せられた。

 APRILの創設者Millie Kieve氏は、娘が窓から落下して死亡したのは、長期に渡って娘に投与されたクローン病治療薬をはじめとする様々な薬剤が引き起こした精神病のせいと確信し、1998年にAPRILを設立した。

 参加者の多くは、有害な精神医学的反応を経験したり、そうした患者の介護をした経験を持っていた。多くの場合、副作用について医師に話しても、気のせいだと決めつけ、患者の話を聞こうとしなかったという。

 うつ病治療に用いられる選択的セロトニン阻害剤(paroxetine)と自殺の関係を指摘したCharles Medawar氏は、この会議で、新薬の市販後調査の重要性を強調した。

 同氏によると、英国医薬品庁が費やす市販後調査費用は年間900万ポンドだが、薬剤の副作用に対する治療費は4億7000万ドルにのぼる。また、うつ病治療薬と自殺の関係については、英国政府による詳細な調査はまだ行われておらず、患者自身による医薬品庁への報告を可能にする計画は試験段階だ。

 その他、会議では以下のような発言があった。「医師による患者へのリスク説明は、理解できるように行う」「副作用は通常、用量に依存するため、用量に注意を払う」「医学部の学生が受ける薬理学の授業は少ない。従って、せめて副作用が明らかになるまで新薬の効果を信用しないよう教える」「製薬会社は、報告を分析して副作用を迅速に発見、対処する道徳的責任を持つ」−−。

 米国でも先頃、Pfizer社の抗てんかん薬gabapentinと自殺との関係が指摘された。同時に、この薬剤が承認適応症以外に大量に用いられていたことが判明した。CATVを利用した呼びかけによって、患者の自殺と自殺未遂の件数は予想をはるかに超えることがわかった。しかしながらFDAは、患者のためのリーフレットを改訂してはいない。

 今後は、患者とその家族、医師、製薬会社、国の監督機関などが常に注意を怠らず、副作用の被害を最小限に抑える努力を続けることが必要だ。

 原題は「More surveillance of drugs is needed to protect public」、全文がこちらで閲覧できる。(大西淳子・医学ジャーナリスト)

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