2004.11.15

【解説】診療所の従業員は4人どまり? 年金法改正は開業にも影響

 10月1日、先の通常国会で成立した改正年金法が施行された。厚生年金の保険料は、今年から2017年度まで、毎年0.354ポイントずつ引き上げられる。現在の13.58%が今年10月からは13.934%に、最終的には18.30%にまで上昇することになっている(労使折半)。月給20万円の場合だと、10月から使用者側の負担は職員1人につき毎月354円増えることになる。

 となれば、開業時に採用する職員の数を決める際に、社会保険料負担を考慮するケースも出てくるだろう。今のところ、個人の事業所は常勤の従業員が5人以上の場合に厚生年金に加入する義務が生じる。同時に、政府管掌健康保険の強制加入の対象にもなる。そこで、常勤の従業員は4人までに抑えようという考えが出てくるのも当然のことだ。

 医療法人化のタイミングも、検討する場合があるかもしれない。法人は、従業員が5人未満でも、厚生年金保険・政府管掌健康保険に加入しなければならない。以前に比べ所得税と法人税との税率差が縮小し、税制面での法人化のメリットが小さくなってきている時だけに、社会保険料負担を考えてあえて法人化しないという選択もあり得るはずだ。

 中には、「常勤ではなく、パートタイマーばかりを雇用すればいい」と考える人もいるだろう。確かに、パートタイマーは勤務時間がおおむね正社員の4分の3以上の人でなければ、今のところ年金に加入させる義務はない。

 しかし、今回の改正には盛り込まれなかったが、パートタイマーの年金加入については、5年以内をめどに検討されることになっている。厚生労働省が当初案として出していたように、年収65万円以上または労働時間が正社員の2分の1以上のパートが強制加入の対象になったりすれば、診療所にも大きな影響が出る。

 いずれは社会保険料の負担が避けられないのであれば、たとえ強制加入の必要がなくても、任意で加入するのも一手だろう。一般にパートタイマーに比べ、常勤職員の方が業務へのモチベーションは高いはずだ。常勤職員を雇用して社会保険にもきちんと加入させておけば、さらに労働意欲を高める効果も期待できよう。

 厚生年金の保険料とは言っても、医療サービスの質を大きく左右する人材の確保と定着に関わる以上、真剣に検討すべき問題であるのはいうまでもない。
(井上俊明、医療局編集委員)

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