2004.11.11

急性心筋梗塞後ハイリスク患者でもQRS間隔延長は生命予後悪化に関係

 心電図上のQRS間隔延長は急性心筋梗塞患者でも心室容量の増大や収縮機能の低下と相関しており、心不全、突然死、心血管死など予後不良を予測する指標となる。米国Brigham & Women's 病院のLakshminarayan Yerra氏(写真)らは11月10日、VALIANT(The Valsartan in Acute Myocardial Infarction)試験のサブ研究であるThe VALIANT Echo 研究の一環として行った検討の結果として、このように報告した。

 QRS間隔延長は、心不全患者における致死性・非致死性心血管イベントの予知因子であることが知られている。しかし、急性心筋梗塞後患者においてもそうであるかどうかは検討が少なく、明らかになっていない。そこでYerra氏らは、この点に関して明らかにすべく、今回の検討を行った。

 VALIANTは心不全または左室収縮機能不全を伴う急性心筋梗塞後ハイリスク患者1万4703例を対象として、ARBバルサルタンの有効性と安全性をACE阻害薬カプトリルとで比較した大規模臨床試験。そのサブ研究であるEcho研究では、ベースライン時の605例に対して心エコーを行い、治療による心機能や心リモデリングなどへの影響について検討している。

 Echo研究における605例中、QRS間隔が適切に測定できたのは403例であった。急性心筋梗塞後患者からは12誘導心電図を得ることが困難なため、QRS間隔は心エコー上に記録された単極誘導心電図から、特殊な心エコー分析ソフトウエアを用いて測定した。

 QRS間隔の値により対象の403例を4群(<75ms、75-88ms、89-108ms、>108ms)に層別し、ベースライン時における背景因子との関係を見ると、QRS間隔が延長した群では延長していない群に比べて拡張末期および収縮末期心室容量とも増大しており、駆出率(EF)は低下していた。また、QRS間隔が延長した群では心筋梗塞の既往、心不全の既往、糖尿病の合併などの率が高かった。

 ベースライン時QRS間隔と予後との関係では、QRS間隔が延長するほど心不全、突然死、心血管死の発症率も高かった。しかし、QRS間隔の延長と脳卒中、心筋梗塞の再発との間には、そのような関係は認められなかった。単変量解析によるQRS間隔延長の心血管イベント発症の相対危険率は、心不全1.31、突然死1.57、心血管死1.31であった。しかし、主要な10の背景因子により補正した多変量回帰分析の結果では、QRSは心不全、突然死、心血管死のいずれに対しても独立した危険因子とはなっていなかった。

 Yerra氏は、「ハイリスク心筋梗塞後患者にとってQRS間隔の延長は、たとえ正常範囲内であったとしても心室容量の増大や収縮機能の低下と相関している。そして、予後不良の指標になるが、それはあくまでも指標に止まり、独立した予知因子まではならないようである」と結論付けた。
(尾辻誠、医学ライター)

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