2004.11.11

ICD装着で延命のために支払う医療費は余命1年当たり3万3000ドル

 うっ血性心不全の人に植え込み型電気的除細動装置(ICD)を装着することで、期待余命が長くなることはこれまでの研究で明らかになったが、今回新たに、1年間余命を延長するために支払う医療費は、3万3192ドルになることが分かった。うっ血性心不全へのICD装着は、先進国においてはコスト的に許容範囲の医療行為だと言えそうだ。米Duke Clinical Research InstituteのDaniel B. Mark氏が、11月10日のレイトブレイキング・セッションで発表した。

 この調査は、うっ血性心不全の人に対するICD装着と抗不整脈薬アミオダロンのそれぞれの効果を、プラセボと比較した試験「SCD-HeFT」の結果を元に分析したもの。SCD-HeFT試験の結果は昨年発表されており、ICDが死亡率を23%引き下げることが明らかになった一方で、アミオダロンはプラセボと差がないことが分かった。そこで今回、ICDの費用対効果を分析するにあたっては、プラセボ群とICD群とを比較した。

 SCD-HeFT試験の被験者は、NYHA分類のクラス2と3の安定うっ血性心不全の患者で、薬による標準的な治療を受けていた2521人。平均年齢は60歳で、うっ血性心不全と診断されてからの期間は平均25カ月、虚血性の人は52%を占めた。追跡期間の中央値は46カ月だった。

 同試験で使ったショックのみを行うICDの価格は、米国350カ所の病院の調査結果を元に、1万7500ドルとした。また、ICDの死亡率削減効果は、5年以降も同等に継続するものと仮定した。

 その結果、ICDを装着した場合、死ぬまでにかかる費用は、プラセボ群に比べて1人平均6万8388ドル高いことがわかった。期待余命については、ICD装着群の方がプラセボ群に比べ、平均で2.455年長かった。ICDを装着した場合、余命1年のために支払う追加コストを割り出すと、2万7718ドルとなった。これを年率3%の割引率を用いて補正すると、同コストは3万3192ドルとなった。

 またサブグループ分析では、心不全がNYHA分類のクラス2の人の方がICDの効果は高く、期待余命1年のために支払う追加コストは、1人2万5517ドルに抑えられるとしている。

 Mark氏によると、米国では余命1年当たり約5万ドルかかる慢性腎不全患者への血液透析を、公的医療保険で既に償還しているという。「そうした点から見ても、余命1年当たり5万ドルまでの追加費用であれば、社会的に許容範囲だと考えられる」と結んだ。
(アンドリュー・テンヘイブ、當麻あづさ、医療ジャーナリスト)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 「金がないから検査はしたくない」への応え方 シリーズ◎岩岡秀明の糖尿病よろず相談所【藤沼康樹編】 FBシェア数:141
  2. さよならNEJM、そしてさよならFDA 池田正行の「氾濫する思考停止のワナ」 FBシェア数:4
  3. 「できるだけ安い薬を出して」と言われたら シリーズ◎岩岡秀明の糖尿病よろず相談所【藤沼康樹編】 FBシェア数:128
  4. 「どう逝きたいか」がリアルに伝わる文書を施設間で… ケーススタディー◎春日井市民病院「ACP相談員」 FBシェア数:27
  5. 「爪剥がし事件」で逆転無罪、正当な医療行為と認定 判例に学ぶ 医療トラブル回避術 FBシェア数:80
  6. 医師のあこがれ? 「ブラックカード」の魅力 Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:1
  7. 先輩たちが新人を退職に追い込んだ意外な理由 院長を悩ます職員トラブル大研究 FBシェア数:0
  8. 70歳男性。左下腹部痛、血便 日経メディクイズ●救急 FBシェア数:0
  9. インスリンの2回打ちって、もう古い? シリーズ◎岩岡秀明の糖尿病よろず相談所【藤沼康樹編】 FBシェア数:131
  10. アドバンス・ケア・プランニングはどう進める? インタビュー◎意思決定支援なしでは治療できない時代に FBシェア数:16