2004.11.11

スタチンがアルツハイマー病にも効果、治療群の半分以上で1年後に症状を改善または維持

 アトロバスタチンをコリンエステラーゼ阻害薬と併用することで、軽症から中程度のアルツハイマー病の進行を遅らせる可能性が出てきた。アトロバスタチンを投与した人の53%で、1年後に症状を改善または維持することができ、この割合はプラセボ群の約2倍だった。この研究はコンセプトを証明するための小規模試験のため有意差は出にくかったものの、うつ病評価スケールではプラセボ群に比べ変化の傾向に有意差が、また認知機能や日常生活動作などの4つのテストでは、プラセボ群より良好な傾向を示した。米Sun Health Research InstituteのD. Larry Sparks氏が、11月9日のポスター・セッションで発表した。同研究のコンセプトに添って、2つのより規模の大きい多施設共同試験が現在進行中だという。

 Sparks氏らは、軽症から中程度のアルツハイマー病の患者46人を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。全員がコリンエステラーゼ阻害薬を服用していた。平均年齢は78歳で、3分の1が女性だった。研究グループは被験者を2群に分け、一方にはアトロバスタチン80mgを、もう一方にはプラセボを投与し、1年間追跡した。

 3カ月、または6カ月ごとに、ミニ・メンタルステート試験(MMSE)、アルツハイマー病評価尺度認知機能検査(Alzheimer’s Disease Assessment Scale-cog;ADAS-cog)、アルツハイマー病共同研究の医師の判断による変化を示すスケール(Alzheimer’s Disease Cooperative Study -Clinical Global Impression of Change ;ADCS-CGIC)、アルツハイマー病共同研究-日常生活動作スケール(ADCS-ADL)、老年期うつ病評価尺度(Geriatric Depression Scale ;GDS)、神経精神症状のスケール(Neuropsychiatric Inventory ;NPI)の、それぞれについて評価した。

 その結果、症状が改善または維持できた人の割合は、プラセボ群では28%だったのに対し、アトロバスタチン群では53%にも上った。GDSは試験開始時の平均値が両群ともに6だったが、1年後には、プラセボ群が8と悪化したのに対し、スタチン群は4と改善し、両群の傾向の間には有意差が見られた(p=0.04)。また、ADAS-cogスコアは、開始時の平均値は両群共に20だったが、1年後にはプラセボ群が24と悪化し、スタチン群は20を維持した(p=0.055)。ADCS-CGICスコアも、スタチン群の方が悪化の幅は小さかった(p=0.073)。
MMSEは、当初の平均が両群共に20.8だったが、プラセボ群は18に悪化し、スタチン群は20.4と当初のスコアをほぼ維持した。NPIは当初の平均が両群共に7.5だったが、プラセボ群は16に悪化、スタチン群は9とわずかに悪化した。

 なおSparks氏は、「個人的に次に興味があるのは、高齢者に多い軽度の認知障害の人に対する、スタチンの効果を調べることだ」と語った。
(アンドリュー・テンヘイブ、當麻あづさ、医療ジャーナリスト)

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