2004.11.10

【AHA2004速報】 αリノレイン酸が豊富な食品は女性の心臓病予防に効果的、たくさん摂る人は心突然死が半減

 ω3脂肪酸の1つであるαリノレイン酸を豊富に含む食生活をしている女性は、心突然死や冠状動脈疾患による死亡リスクがあまり摂らない女性に比べ、46%も低いことが、8万人弱の女性を16年間追跡した米国の観察研究の結果、明らかになった。しかも心血管疾患の既往歴がある場合は、心突然死リスクが3分の1以下と極めて低く、2次予防効果も期待できる。11月8日のポスターセッションで、ハーバード大学医学校助教授のChristine Albert氏(写真)が発表した。

 Albert氏らの研究グループは、米国の看護師の女性を対象とした健康調査研究であるNurse's Health Studyに登録した女性のなかで、1984年に食事調査に回答した女性7万6763人を16年間追跡した。追跡期間中、169人が心突然死し、564人が冠状動脈疾患により死亡、1325人が死亡に至らない心筋梗塞発作を起こした。

 調査対象者をαリノレイン酸の摂取量で5群に分け、それぞれの群の心疾患リスクを比較した。最も摂取量の少ない群は、摂取量の中央値が1日の摂取エネルギー量の0.37%で、順に、0.45%、0.52%、0.60%とし、最も摂取量の多い群は中央値が0.74%とした。最も少ない群の摂取量は1日当たり0.7g、最も多い群は1.5gを摂取していることになる。

 最も摂取量の少ない群を1とした心突然死の相対リスクは、年齢、喫煙量、BMI、閉経、ビタミン摂取などの心血管疾患リスク要因で調整後も摂取量が多いほど有意に低下し、最も摂取量の多い群では43%と有意に低かった。冠状動脈疾患による死亡リスクも同様で、最も摂取量の多い群では23%低かった。こちらは個々の相対リスク低下は統計的有意ではないが、トレンドは有意に低下傾向を示した。心突然死、冠状動脈血管死亡のいずれも、他の脂肪酸摂取について調整後でも有意に低下傾向を示した。死亡に至らない心筋梗塞についてはαリノレイン酸摂取量との関連は見られなかった。

 αリノレイン酸は葉野菜やナッツ、キャノーラ油などに豊富に含まれ、日本人ほど魚を食べない欧米人にとっては摂取しやすいω3脂肪酸なので、αリノレイン酸がDHAやEPAなどの摂取量を調整しても心疾患死亡の予防に有効であることを示唆する本研究はインパクトが強いと言える。

 さらに興味深いのは、αリノレイン酸摂取が心突然死については2次予防も有効であることを示唆する結果が得られていることだ。年齢と心血管疾患リスク要因で調整後、最も摂取量の少ない群に対して最も摂取量の多い群の心突然死リスクの相対リスクは68%も低かった。

 本研究は観察研究であり、Albert氏は、「αリノレイン酸を推奨するには今後の(介入)研究が必要」としていたが、循環器系疾患を抱えている魚嫌いの女性は、αリノレイン酸リッチな献立を心がけても損はなさそうだ。(中沢真也)

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